※この記事は「臨床研修プラクティス」(文光堂)2008年6月号の特集を転載したものです。
腹痛では手術を含めた緊急の対応が必要かどうかということが最も重要です。悲劇的な結末を迎える疾患が、最初は軽い腹痛であることも珍しくありません。こまめにベッドサイドへ足を運ぶ習慣を今のうちに身につけましょう。
1.どのような病態・疾患を考えるか?
突発した腹痛で緊急対応を要するものは、臓器や血管の「破裂」と「閉塞」によるものが多く、これに「炎症」を加えた3つの代表的病態を念頭に置き、それがどの臓器に起こっているかを考える習慣をつけるとよいでしょう。
また、腹部には原因がない腹痛もあり、虚血性心疾患の心窩部痛と睾丸捻転の下腹部痛には特に注意を要します。さらに、糖尿病性ケトアシドーシスや高カルシウム血症や尿毒症などの代謝性疾患や、腹部の帯状疱疹でも腹痛を訴えることがあります。