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せのびぃ、「コメディカルのここがすごい!」と思う(その3)心理士編
心理士のプロの技に感嘆

2014/08/13

 「看護師編」「PSW・病棟クラーク編」に続き、今回は心理士の「ここがスゴイ!」をご紹介します。

(1)観察が細かい!
 当院では、今年からチームごとに固定の心理士が配属されることになりました。せのびぃのチームを担当してくださるのは、ベテランの心理士さんです。心理検査には、自記式のものと対面式のものがあります。自記式のものは、とりあえず結果を出す部分までは誰でもできるのですが(当たり前)、実は解釈がかなり難しいのです。

 例えば、SCT(文章完成法テスト)というものがあります。これは、例えば「子どもの頃、私は」という文章の始まりだけが書いてあり、残りを埋めるというテストです。すごく多くのセンテンスを埋めるのですが、その中から「患者さんらしさ」を表している文章に注目して解釈を加え、その後の指導に生かしたり診療の参考にしたりするわけです。注目する箇所は心理士さんによって微妙に違います。この違いは心理士さんの性格(キャラ)にもよる気がします。

 「そんなとこに着目する!?完全に読み飛ばしてたわ~…」とせのびぃが感じるようなセンテンスから、重要なスペキュレーション(推測)を展開してくれたときなどは、やっぱり自記式の検査も慣れた人に判断してもらいたいな、と思います。

(2)面接がうまい!
 とはいえ、やはり心理士のスペシャリティは対面式の検査で特に発揮されると思います。ロールシャッハ・テストという検査は、インクの染みのような図形を見て何が見えるかを尋ねるというものです。その解釈を聞くと、本当に驚かされることが多いのです。あまりこのコラムで書きすぎるのも野暮ですが、単純そうに見える検査には奥深い世界が広がっているようです。

 医者にはずーっと喋ってくれなかったことを、いとも簡単に引き出してくれることもしばしばです。せのびぃが学生のとき、学生だからこそ聞けたという経験もあったので、立場の違いはあるかもしれないですが、それでもやっぱり面接のプロだなあと思わされます。

 これほど専門性が高い心理士ですが、収入の低さが以前から問題になっています。国家資格にするために活動が進んでいますが、今はまだ日本臨床心理士資格認定協会の認定資格です。精神科の患者さんの中には、薬物療法よりもカウンセリングが重要な患者が一定数いるのですが、その人たちを医師が診続けるのは現行の診療報酬体系では現実的ではなく、しかも医師よりも専門性が高いスタッフがフォローするほうが患者のためにもよいと思います。

 もっとも心理士の方に聞くと、心理士の中でもレベルがバラバラであることが問題だと口をそろえます。医師も、どんな名医だろうが1カ月目の駆け出し研修医だろうが同じ処置や手技ならば同じ点数がつきます。心理士の場合はその問題がもっと根深いのかもしれないとのことでした。

 クリアしなくてはならない問題はいろいろあるようですが、最終的にはみんなのためになるように制度が変わっていくことを祈っています。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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