せのびぃは後期研修医なので大学の規定で寮に住むことができず、自分で家を借りて住むことになりました。初期研修時代の寮よりも広くなったし、家でゆっくり本を読んだり物思いに耽ったりしようと思い、ソファーを買ってみたりしたのですが、狭くてゴミゴミしたところが落ち着くせのびぃとしては、まだこの広さに慣れず、ちょっとくつろげずにいます。
今回は、精神科医になって自分の考え方が大きく変わった部分をご紹介します。
精神科の診療はすごく疲れる…
突然こんな小見出しを立てて申し訳ないのですが、これ、ホントなんです…。
ゆったりとしゃべり、定時で帰る精神科医は余裕があるように見えるかもしれませんが、文字通り一挙手一投足、会話のやりとり一つでも間の取り方や相槌の打ち方まで気を配る必要があるのです。
朝の回診の順序や、一人ひとりの患者さんにかける時間、もちろん他のチームとのバランスも考えて、病棟の不満が募らないようにすることも怠りません。
精神科の「病気」にはいろいろとありますが、入院の適応はほとんどどの「病気」でも同じで、「社会生活に破綻をきたしたら」というところに落ち着きます。よって、大きな治療目標は「社会生活に無事に戻る」ということになるわけです。そのためには、一日のリズム、一週間のリズムに慣れていかなくてはなりません。まず、起床時間と就寝時間を守り、平日と休日の区別をはっきりさせていくことが重要です(医師にとっては、非常に耳が痛い話です)。
そこで、休日には日直・当直の医師以外は誰も病棟に来ないようにしています。実は、病棟から見えないところで、それなりの人数がせかせか働いていたりするのですが、バレないように振る舞うのがお作法であり、もっともよいのは平日の間に仕事を片付けてしまうことです。
やる気のある研修医が、他の科と同じ雰囲気で休日出勤してしまうと、患者Aさんから「Bさんのところには土日も担当の先生が来てくれるのに、私のところには来てくれない!」という訴えがなされて、揺れてしまうかもしれないんですね。
そんなことに配慮しつつ、基本的に日中はずっと患者の悩みについて考え、関係各所の面接アポイントを取り、長い長い現病歴と薬歴(なかには数十回の入院のサマリー)を読み返すなどの作業が待っています…。
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著者プロフィール
毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介
日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。
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