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生活習慣病とどう付き合うか――後編:薬物治療で専門性を発揮する

2014/03/12

 さて、今回も前回に続き、糖尿病診療の話です。前回はコメディカルの力をいかに引き出すか、について焦点を絞ってみましたが、せっかくなので医者の力が発揮できる薬物療法について触れておきたいと思います。

 薬物治療も、各患者さんのコンプライアンスや生活スタイルを考慮しながら処方するという点で、他職種との連携を図る必要はもちろんあります。しかし処方の権限は医師にしかないので、やはり専門性を発揮できる部分だと思います。

 最近も、新しい薬剤が続々とでてきています。今年のホットトピックはSGLT2阻害薬だそうです。これは、尿細管でブドウ糖の再吸収を抑制し、いわば「尿糖を常に出す」という、つい最近まで飢餓に悩まされてきた人類にとってはおよそ考えられない不思議な機序で働くのだそうです。

 実際の使用感や副作用については今後の症例蓄積を待つ必要はありますが、新しい機序の薬が出てくるのは、併用の観点からしても良いことであり、期待の持てる薬剤だと思われています。

低血糖を起こすくらいなら治療が甘い方がまし?
 過ぎたるはなお及ばざるがごとし、とはよく言ったもので、血糖降下薬を選ぶポイントの一つは、低血糖を起こさない、という点です。内分泌糖尿病科の先生はよくこう言います。「高血糖はそれそのもので死ぬことはない。低血糖は超緊急疾患。死ぬし、神経学的後遺症も残る」。

 血糖を過度にタイトにコントロールすると生存率も下げてしまうというエビデンスも出てきて、やはり過ぎたるはなお及ばざるがごとし、と感じる次第です。ちょうどよい頃合いである中庸が重要なんですね。

 DPP-4阻害薬もそうですが、新しい機序の薬物は「血糖値が高い時だけ下げる」というような「都合の良い」ものが増えています。

 精神科の例で恐縮ですが、アリピプラゾール(エビリファイ)も、ドパミン受容体の部分作動薬として、「活動が高すぎる時は抑え、低すぎるときには上げる」という働きをするので使い勝手が良いとされているようです。今後はこの手の薬剤がますます増えそうですね。

 それでは、現場では旧来の薬とどのように使い分けられているのでしょうか。

著者プロフィール

毎日せのびぃ●市中病院での初期研修後、出身大学病院を経て、再度初期研修病院に戻った精神科医の卵。外見や語り口は穏やかで気さくな好青年。だが、胸の内には数々の野望が渦巻いている。今はそれらを封印し、高みを目指して修行に励む日々。

連載の紹介

日々是たぶん好日ナリ
毎日せのびぃ”が臨床の狭間で繰り出すつぶやきログ。生活の大部分を占める医療ネタのほか、将来のこと、趣味のこと、世間話など、フリーハンドで書いていきます。

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