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 「輸液全開!病院前で500mL終了、FAST陽性、血圧50、緊急輸血O型すぐに始めて」。交通事故で昏睡状態の女性患者が「ER1ベッド」へ入っていく。最悪の状態に近づいているのが、心電図モニターの早いビープ音で伝わる。「腹部外傷+骨盤外傷+肺挫傷」の救命が至難なことは、この場の誰もが知っている。私は患者の母親に説明する。「胸、腹、骨盤外傷です。きっと助けますが、重傷です」。母親は泣き崩れた。

 手術室に患者を入室させる。「腹部出血予想は2L、死の三徴(低体温、凝固障害、アシドーシス)の出現前に手術を終える」。スタッフ全員の手を止めさせ、私は言った。

著者プロフィール

今 明秀(八戸市立市民病院院長)●こん あきひで氏。1983年自治医科大学卒業。へき地診療を5年、外科を8年、外傷救急を6年修練。青森県ドクターヘリ スタッフブログ「劇的救命」(http://doctorheli.blog97.fc2.com/)を更新中。

連載の紹介

救急いばら道
八戸市立市民病院の院長であり、救命救急センター所長、臨床研修センター所長でもある今明秀氏が、ドクターヘリやドクターカーを擁する同病院救命救急センターでスタッフと日夜奮闘する様子を、克明にお伝えします。

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