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中国ではごく普通に行われているda Vinci手術

2014/07/17
手取屋 岳夫

 da Vinci(ダ・ヴィンチ)手術を始めています。

 心臓外科分野ではわが国で薬事承認さえされず、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の否定的な見解を崩せないままにいますが、世界的にも僕たちの分野はいまひとつ伸びが悪いみたいです。

 開発元のSugcial Intuite社ではマーケットを前立腺手術を中心とした骨盤内手術や、消化器外科および咽頭喉頭部手術にシフトさせており、既に心臓外科および呼吸器外科に対する期待度は極めて低くなっているらしいです。

 寂しい!

 僕自身は前赴任地のS大学の時にいち早く米国でda Vinci手術のトレーニングを受けてシステムの導入を試みました。が、女性外来とか乳腺外科とか大学でやらんでもええやろ的なところに予算をもっていかれました(結構正しい判断だったかも・・・)。とにかくほごにされた恨みつらみもあり、今の病院ではぜひにと半ば意地もあって最近始めました。

 始めるに当たって実際にどう使えばいいのか、なかなか見えてこないままに規定通りのトレーニングを受けるため米国に行くことになりました。一通りのトレーニングを受けた後、症例見学に推薦された、米国でも有名な施設に赴くと、2日で4例見せてあげるとのこと。

 やるね!と思ったら、とんでもなく遅い手術で、ええ~これでは4例どころか1例で1日終わっちゃうって思っていたらなんと1例しかなかったという始末・・・。

 なめとんのか~、高い金取りおって──。アテンドしてくれた尼崎出身のメーカーのおねえさまのおかげで(僕でないよ、僕はただただシュンとなっていただけです)、約100km離れたYork hospitalってところを紹介され(無理やり紹介させて・・・)、Dr.Larry Shearsの手術を見に行きました。

 行きのレンタカーでは二人とも荒れまくって、これでアカンかったらあばれるでぇ~。

 ところが、ここがよかった!

 Larryったら僕たちの到着を待ってくれていて、手術室に入った途端に始まり自分でポートを入れてda Vinciとドッキング、ここまで5分くらい。で内胸動脈を20分くらいで取り終えて、ちょろっと傷を大きくして内胸動脈ー対角枝ー左前下行枝のバイパスを完成させ、細いドレーンを入れて終了!

 1時間10分の手術でした。手術終わるや否や麻酔から覚醒して手術室抜管。翌日には退院して西海岸まで帰って、紹介元の病院で左前下行枝以外の冠動脈に対してPCI(経皮的冠動脈形成術)予定とのことでした。

 これじゃ~まさに普通の手術! これを目指そうってことで精進することに!

 しかし、なんといってもda Vinciは3億5000万円以上もするし。既に死語になっているけれど、われら小市民! 名前もちょっと偉そう!というわけの分からんプレッシャーもあり技術的にも構えてしまって、いまひとつ自分のものにならんと思っていたところ・・・。

 先日、中国でというか、ひょっとすると世界で一番da Vinci手術をやっているんじゃないかっていう北京のDr.Gaoの手術を見学しました。

 そしたら、呪縛が解けた! やっぱりLarryと同じでとても普通!

著者プロフィール

手取屋岳夫●てどりや たけお氏。1987年金沢大医学部卒。92年同大大学院卒。95年ドイツベルリン心臓センター。00年シドニーセントビンセント病院心臓肺移植ユニット。02年昭和大横浜市北部病院循環器センター助教授。04年同大胸部心臓血管外科主任教授。12年上尾中央総合病院心臓血管外科。

連載の紹介

手取屋岳夫の「外科道日誌」
気付けば四半世紀も心臓外科をやってしまった!大学教授をクビになった一人の心臓外科医として、成熟しきっていない社会人として、これからの日本の医療を担う人たちへチョロッとしたメッセージを送ります!

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