日経メディカルのロゴ画像

癌と臭気―QOLのためには消したい、診断手段としては使いたい

2008/08/29

 数年前、私が入院した病院は癌を専門とする病院で、看護部が非常に臭気対策に力を入れていました。活性炭をベッドサイドに置き、看護助手がこまめに換気の気配りをしていたのを覚えています。

 8月24日付の読売新聞は、県立静岡がんセンターと大手香料会社の高砂香料工業(東京都大田区)が、癌患者から出る特有のにおい病臭)を減らす研究を共同で始めたことを報じています。

 静岡がんセンター婦人科の平嶋泰之部長によると、癌による病臭は、癌細胞が壊死して細菌感染を起こして発生し、一般的に体表にできた癌や子宮癌など婦人科系の癌によるものが特にきつく、診察の際に白衣に染みこみ、すぐに着替えたくなることもあるそうです。

 このようなにおいは医療者にストレスを与えるだけでなく、身近に世話をする患者家族にもつらい思いをさせ、ひいては患者本人のQOLを損ないかねないところから、病院と企業が共同研究・開発を始めることになったとのことです。

 今月から企業の研究員ががんセンターに常駐し、患者からにおいのサンプルを採取して、分子構造レベルでにおいの成分を分析し、においが発生するメカニズムを解明して、消臭・脱臭効果のある病衣や寝具などの開発につなげていく方針だといいます。

 このような癌の臭気は、癌患者の療養という側面からは厄介なものといえますが、癌診断という観点からは、一つのアプローチの手段にもなっています。以前、日経メディカル オンラインの記事でも癌探知犬の話題が紹介されていましたが、その後も犬だけでなく、米国の研究者が切ったり刺したりせずに皮膚癌を早期発見する方法を開発しています。

著者プロフィール

竹中郁夫(もなみ法律事務所)●たけなか いくお氏。医師と弁護士双方の視点から、医療訴訟に取り組む。京大法学部、信州大医学部を卒業。1986年に診療所を開設後、97年に札幌市でもなみ法律事務所を開設。

連載の紹介

竹中郁夫の「時流を読む」
医療のリスクマネジメントを考えるには、医療制度などの変化に加え、その背景にある時代の流れを読むことも重要。医師であり弁護士の竹中氏が、医療問題に関する双方向的な意見交換の場としてブログをつづります。

この記事を読んでいる人におすすめ