日経メディカルのロゴ画像

カリフォルニアに引っ越しました!

2015/04/22
緒方さやか

 アメリカの良いところは、仕事や環境を変えたければ、比較的、簡単にできることである。頻繁に転職することが一般的なのはもちろんのこと、同じ会社の中でほかの支社への異動する場合なども、本人の希望が尊重されるようである。

 夫の元上司は車と旅が趣味。そのうちライトバンを購入し、改造して、キッチンとベッドを取り付けた。その車で1年間アメリカ中を旅しながら、シニア・マネジメント・コンサルタントの仕事をフルタイムで続けていた。

 もちろん、それはまれな例だが、夫も、別の支社への異動は本人が希望を出しさえすれば大抵通ると言う。

 「どうせ、今でさえミーティングのほとんどは電話やビデオ通話でしているんだから」。中小規模のコンサルティング会社ではそういうものらしい。もちろん、医療では、テレメディスン(遠隔医療)をやっているのではない限り、そうは簡単にはいかない。

 アメリカに24年間住んではいるが、コネチカット州、ボストン、ニューヨークと、東海岸ばかりだった。四季が美しい場所だし、大好きな人々がいた。しかし子どもができると、どうしても将来のことを考えてしまう。西海岸の方が、アジアへぐっと近くなるし、カルフォルニアの都市では日系や中華系の文化が根付いている。日本人と中国人のハーフとして育つ息子には、心地よい環境ではないだろうか。

 それに加えて、ニューヨークの冬はとにかく寒い。零下10度を下回る日に息子を公園に連れていくのは辛い。そうかと言って、 週末に一日中家にいると、エネルギーを持て余した子どもがなかなか昼寝をしてくれないのも、相当辛い。15センチ以上積もった雪の中を、無理やりベビーカーを押して託児所に向かっていたら、ネジが飛んで、ベビーカーが壊れてしまったこともある。

 「外に出るたびに、宇宙服のような防寒スーツを子どもに着せる必要がなければ、どんなに楽だろう」。そんなことを考え始めた矢先、ずっとニューヨークに住んでいた両親が帰国してしまい、ニューヨークに居続ける理由が、一つ減った。

 もともと、山登りが趣味の夫は、「もっと自然に近い場所に住みたい」と長年言っていた 。私たちは既に知り合いや友人もいる、カルフォルニア州サンフランシスコへの移住を真剣に考え始めた。住んだことのある同僚や友人に聞くと、皆「野菜がおいしい」だの「生活ペースがゆったりしている」だの、良いことばかりを言う。

 ただ、ニューヨークで築いた人間関係や、友人たちのもとを去ることは悲しかった。また、支社を移るだけでいい夫と違って、私は、仕事を辞めることになる。患者さんに別れを告げるのは、申し訳ないが、自分の家族にとって一番良い選択肢を選ばせてもらった。

 冬のニューヨークを後にして、私たち一家はサンフランシスコの郊外に引っ越した。

 結果、どうだったか?

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

この記事を読んでいる人におすすめ