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米国で働くママたちの悲喜こもごも

2011/02/02

 最近、妊娠、出産する友人が増えている。それまでフェミニストやキャリア一筋を公言していても、子供が生まれると悩むのは皆同じのようである。私自身は結婚したばかりで、まだこの問題には直面していないが、身の回りの、子育てにおける人生の選択肢のいくつかを、紹介してみたい。ほかの多くの職業と違って、医療関係者は、勤務時間の選択肢が豊富なのが魅力的である。

 知り合いのAは、ファミリー科のナースプラクティショナーNP)として、医師3人、NP1人のクリニックで働いている。長女が生まれてからは、 連邦法で定められた12週間の無給の産休を取った後、 職場と交渉して週3日勤務にしてもらった。「仕事がつらくなる頃、子供と過ごす日がやってくる。で、子供とべったりの時間がつらくなってくると、仕事の日がやってくる。ちょうどいいわ」と笑っていた。もちろんその分、給料は減るが、夫も収入のある彼女にとっては理想の選択肢だったようだ。勤務している間は、3歳の娘は保育園に預けている。

 米国で公的な保育園の存在を聞いたことはないが、お金さえ出せば、子供を預けるところは見つかるらしい。また、高額ではあるが、住み込みのベビーシッター兼家庭教師というAupair (オーペア)というシステムもある。フィリピンなど、海外でメイドなどとして働くことの多い国の女性たちのほか、オーストラリア、スウェーデンなどの国々の若者が、外国語を学びながら世界を見るためにオーペアをすることもあるらしい。要するに、ワーキングホリデーの一種だろうか。当然ながら、お金に余裕さえあれば、仕事と子育てとを両立することも容易くなるのだ。

 では、お金がない場合はどうするのか。メディカルアシスタントBの給与は時給12ドル程度。シングルマザーでドミニカ共和国からの移民でもある。そんな彼女は、近所に住む違法移民の女性に頼み、8歳の息子が帰宅してから自分が帰宅するまでの数時間を、格安で見てもらっているという。同じく中国からの移民のメディカルアシスタントCは、同居している親に子供の面倒と料理を手伝ってもらっている。ただし、一般的な米国人の間では複数世代での同居はまれだ。日本人も含め、家族の結束の固い文化背景の民族の家庭ならではのことのようだ。

著者プロフィール

緒方さやか(婦人科・成人科NP)●おがた さやか氏。親の転勤で米国東海岸で育つ。2006年米国イェール大学看護大学院婦人科・成人科ナースプラクティショナー学科卒。現在、カリフォルニア州にあるカイザー病院の内分泌科で糖尿病の外来診察を行っている。

連載の紹介

緒方さやかの「米国NPの診察日記」
日本でも、ナースプラクティショナー(NP)導入に関する議論が始まった。NPとは何か?その仕事内容は?米国で現役NPとして働く緒方氏が、日常診療のエピソードなどを交えながら、NPの本当の姿を紹介します。

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