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元気な研修医とたくましい野菜

2010/05/26

 「わー、すごい!! 速くてよく分かりませんでした。先生、もう一度ゆっくりやっていただけますか?」。興味津々な声があちこちから聞こえてくる。

 初期研修1・2年目を対象に、週に1回開かれる研修医勉強会。各科の先生が持ち回りで講師を務め、所定のテーマに沿って日常診療に役立つ知識を教える。弁当を食べながら気軽に参加でき、毎日体力勝負の研修医にとっては、栄養を摂りながらゆっくり医学知識に触れられる貴重な時間でもある。

 外科診療部は月に1回の担当。研修医の育成とともに、“外科勧誘”の一環として外科に興味を持ってもらう良い機会でもある。当日のテーマは、「糸結びと縫合」。教育用の糸結びキットを使っての実践練習だ。このような手技系の講義は人気が高い。

 「じゃあ、もう一度ゆっくりやります」「いいですか、よく見ていてください。まず、両手で糸の端をこう持ちます。右手の人差し指で右の糸を手前に引っかけます。次に右手の親指で左の糸を取り、その親指で右の糸を手前に引っかけます。そして、右の人差し指を輪から外して、左の糸を前方から手前に輪をくぐらせます。ほら、こんな感じです」。

 「わー、すごい!マジックみたいですね」。体で覚えている単純作業を言葉で説明するのは、結構大変だ。

 「しっかり覚えてください。結紮糸が緩めば患者さんの命にかかわることもあります。結紮も気持ちも引き締めていきましょう」。

人気が高い手技系の勉強会
 毎日当たり前のように行っている外科の基本手技がこれほど好評とは意外に思えるが、よく考えれば、当然なのかもしれない。

 研修医の1日の仕事は、すべてが医学的でためになることばかりではなく、「雑用」と感じられる業務も多い。私の大先輩は、「雑用という名の仕事はない!」とよく言っていた。僕が思うに、「雑用も上手く処理できずに、きちんとした仕事はできない」という意味だろう。新入社員に任される「花見の幹事」も同じようなものかもしれない。花見の宴さえうまく段取りできない人間が、大切な仕事の段取りをできるはずがないといった考え方は、まぁ理解できる。

 ただ、雑用は、やっぱり雑用(笑)。あまり楽しめない気持ちは、自分にもよく分かる。それだけに、体を動かしながら医学を学べる手技系の勉強会は楽しいのだろう。

著者プロフィール

緑山草太(ペーンネーム)●みどりやま そうた氏。東京の大学病院の上部消化管診療チーフ。1988年東京の医科大学卒。04〜09年大学病院医局長。09〜10年、本サイトでブログ「僕ら、中間管理職」を執筆。

連載の紹介

緑山草太の「がんばれ!ドジカワ研修医」
医局長を5年務めたベテラン消化器外科医の緑山氏が、日本医療の将来を担う若手医師へ贈る応援歌。ドジでカワイイ「ドジカワ研修医」への指導や、彼らとのコミュニケーションを通じて感じた様々な思いをつづります。

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