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できる上司は苦手分野で出しゃばらない

2009/09/18

 組織のトップになると、「すべての事柄において、自分は部下より優れている」と考える方が多くなるようです。しかし、すべての分野で才能に恵まれているトップは、そうはいません。そもそも、そんな“超人”である必要もないと思っています。

マグロのような上司は確かにすごいが…
 医療の世界は、専門が細かく分かれており、その業務内容も多様です。外科を例に取れば、その分野は、消化器、呼吸器、乳腺内分泌、血管、小児など多くあります。さらに、例えば消化器外科であれば、その対象は食道、胃、大腸、肝臓、膵臓、胆嚢などに分かれます。また、大学病院の医師であれば、その業務内容は、日常診療、研究、教育など様々です。

 大学病院の講座または教室の場合、組織のトップは教授です。したがって、外科の教授であれば、すべての分野におけるすべての業務で卓越していることが望まれます。確かに、私がこれまで仕えてきた教授は皆優秀でございました(ホントです!)。活力にあふれ、多くの分野で実績を積み、学会・講演などで世界各地を飛び回り、忙しい日常診療の合間に英語での論文を多数執筆する―。失礼な言い方になりますが、1日の平均睡眠時間が3~4時間という超人的スケジュールをこなすその姿が、泳ぎ続けないと生きていけない「マグロ」を思い起こさせる方もいました。

 とはいえ、トップが必ずしも“万能” である必要はないと思っています。人間に与えられた時間は限られています。特に研究者は、不得意分野を人並みにこなすための努力より、得意分野でのステップアップのために時間を費やすのが常です。現実には、外科疾患の全領域の診療、研究および教育に卓越している万能上司はそうそういるものではなく、必ず不得意分野があるのではないでしょうか?

 優れた上司とそうでない上司の違いは、この不得意分野への対し方にあるように思います。「自分は全分野で秀でていなければならない」と考え、不得手なことに無理して手を出すのではなく、苦手な分野については、得意な部下に任せることも必要です。


著者プロフィール

緑山草太(ペーンネーム)●みどりやま そうた氏。消化器外科医。1988年、東京の医科大学を卒業。2000年、栃木県の国立病院の外科部長。2004年に再び東京の大学病院に戻り、医局長を務める。

連載の紹介

緑山草太の「僕ら、中間管理職」
良い診療も良い経営も、成否のかぎを握るのは中間管理職。辛くとも楽しいこの職務は、組織の要。「良い結果は健全な組織から生まれる」と話す緑山氏が、健全な組織を作るための上司の心得を紹介します。

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