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大規模マラソンは、交通事故死が減る分、安全

2007/12/29

 マラソンによる突然死がおおっぴらに報道されるので、「マラソンはとても危険なもの」というイメージがはびこる…。本当にそうか? マスメディアの寓話にすぎないのではないか?…という報告。

Competing risks of mortality with marathons: retrospective analysis
BMJ 2007;335:1275-1277

【目的】社会的観点から、マラソンに伴う心臓突然死のリスクを、道路が閉鎖されてない場合に起こる自動車事故のリスクと比較して、評価すること
【デザイン】住民ベースの突然死レトロスペクティブ解析
【セッティング】1975~2004年の20年、米国の公道で開催された参加者1000人以上のマラソン
【主要測定項目】心臓突然死と自動車事故による突然死
【結果】マラソン参加者は329万2268人、レースの開催は750日で、延べ約1400万時間。
突然死は26人で、参加者10万人当たり0.8(95%信頼区間:0.5-1.1)
一方、道路の閉鎖によって、避けられた自動車事故死は46、これは相対的にリスクを35%(95%信頼区間:17%-49%)減少したこととなる。
マラソン中における心臓突然死1回の代わりに、交通事故死は1.8回減少し(95%信頼区間:0.7-3.8)、結果的に突然死の総数を減少させることとなる 。
【結論】ニュースメディアによって作られた寓話的印象とは異なり、社会的視点から見ればマラソン競技の開催は突然死の増加と関連しない。

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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