
カロリンスカ大学病院の玄関。
まさに「光陰矢の如し」の言葉通り、スウェーデンに移住してから7年半にもなりました。移住する以前、2回ほどポスドクとして働いたことで、私はスウェーデンという国がすっかり好きになっていました。日本では医学部卒業以来、超多忙な生活を強いられた上、男性優位の外科医社会で自分が日々すり減っていくのを感じ、そんな閉塞感のある日本にいるよりは「人間らしい」生き方のできるスウェーデンで、医師として、人間として、やり直したいと考えました。
実は、2007年4月にストックホルムのアーランダ空港に降り立ったとき、その先どのような困難が待ち受けているのか、あまり考えないようにしていました。「何とかなるだろう。どうにもならなければ、帰国すればいい」。不謹慎と言われてもしょうがない心構えでした。逆に言えば、そう考えでもしなければ、移住の選択をすることはできなかったと思います。その時点で実に不惑を過ぎており、無謀とも言える決断だったかもしれないのですから。