
12月7日に開催された中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会では、外来管理加算をめぐる議論が行われた。
外来管理加算とは、処置や検査などを必要としない患者に対して、丁寧な説明や計画的な医学管理などの医療行為を行ったことを包括的に評価するもの。中医協では、既に11月2日に議論が行われており、患者にとってより分かりやすい診療報酬体系にするために、説明や医学管理に要した「時間」の目安を決め、それを算定要件に盛り込むが提案されていた。
だが、この「時間」を算定要件とする案に対して、委員から「外来管理加算は、医師の判断で処置や投薬を行わず、指導のみを行った場合などに算定できる点数。そうした点数を算定しにくい仕組みにするのは反対だ」といった意見が出て、結論は先送りにされていた。
今回の2回目の議論で、厚労省が新たな算定要件として提案したのは、またしても「時間」だった。厚労省は前回、委員から調べるように要望があった「診療時間の調査」(内科を主たる標榜科とする診療所の患者1人当たりの診療時間の分布の調査)の結果を委員に提示し、「平均診療時間が5分以上である医療機関が9割、10分以上は6割」と報告した。
これに対し、医師委員からは、「1回の診察時間で区切るのは、現実的に難しいのではないか。ある日の診察に30分くらいの十分な時間をかけたので、次回の診察時間が短くて済む、ということはよくあること」と反論。また別の委員は、厚労省の調査結果について「実際の診療時間を反映していない」と主張。例えば、診察室に入ってから服を脱いでいる時間も含まれているので、着ている服の量が違う夏と冬でその時間には差が出るはずだ、と主張した。
その後、ある委員が「(現行の外来管理加算は)確かに患者の視点からすると分かりづらい。事務局で、(時間以外の)別の案は考えられないか」と提案。厚労省は、「外来管理加算の要件として『時間』がそぐわないというのは理解した。だが、例えば、医師が指導内容を記した紙を発行するという方法であれば、それはそれで反対が出るだろう。何か別の要件をご提案いただければ、検討したい」と返答した。厚労省と委員が、お互いに「何かよい案を出せ」と押しつけ合う形のまま、次回以降に持ち越しとなった。
外来管理加算の新しい要件については、中医協委員も厚労省も、どうしたらよいのか分からず頭を抱えている状況だ。「時間」以外に、何かいいアイデアはないものだろうか。(和田 紀子=「診療報酬改定2008」特別取材班)