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育児ノイローゼの私を癒やしてくれた映画

2011/02/03
引地悠

立春を間近に控えた秋田の曇り空。

 今年の冬は、寒いですね。特に小寒から大寒まで(1月5日頃から20日頃まで)の間は、身が凍えるような思いでした。まだまだ寒さが厳しいですが、明日は立春。春に向けての助走は確実に始まっています。そう思うと、心も体も軽やかになってきました。

 先日、久しぶりに1人で映画を観に行きました。松本佳奈監督、小林聡美主演の『マザーウォーター』です。京都の小さな町の中で暮らす人々が、お互いに少しずつかかわりを増やし、自分らしさを求めながら生きていく様子を、淡々とつづった映画です。

 特に心に残ったシーンがありました。

 セツコ(小林聡美)のバーで、ヤマノハ(加瀬亮)は、いつになく落ち着きがない様子。実は、職場の同僚の1人が突然失踪したという。

ヤマノハ「そいつのこと、心配してるはずなのに、どこか楽しんじゃってる自分がいて、嫌なんですよね」

セツコ「あ、そう」

ヤマノハ「俺ってだめだなあ」

セツコ「そんなことないよ。だって、ヤマノハさんがそう思っちゃったんだから、仕方ないじゃない。自分の気持ちとして、そのまま受け入れればいいんだよ」

後日。「あいつから連絡ありました」とセツコに報告するヤマノハ。

ヤマノハ「俺、心の底では、あいつのこと、うらやましかったのかもしれません。俺がやりたかったこと、先越されちゃったような気がして」

セツコ「で、会ったの?」

ヤマノハ「まさか。俺なんかが、会う資格ないです。」

セツコ「資格? 人が人に会うのに、資格なんて必要なの? その人、ヤマノハさんに会いたいから連絡してきたんでしょう」

ヤマノハ「そうかなあ…」

セツコ「そうだよ。シンプルに考えなよ」

しばしの沈黙の後、「行ってきます」と店を後にするヤマノハに、セツコは「行ってらっしゃい」と声をかける。

(注:台詞は、聞き覚えている限りなので、完全な再現ではありません。)

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。09年1月に第1子を出産し、10年1月に復職。

連載の紹介

引地悠の「仕事と育児のベストバランスを求めて」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」と考えていた引地氏。2009年1月に第1子を出産し、育児休業を1年間取得後、2010年1月に復職しました。新米ママ女医として盛りだくさんの日常をつづります。

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