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ロコモティブシンドローム特集2015

【診療アップデート】ロコモの関連疾患を診る
リウマチ診療の現在
新潟県立リウマチセンター副院長 伊藤 聡

2015/12/21

関節リウマチ(RA)の治療は、メトトレキサート(MTX)を早期から十分量使用できるようになり、他のDMARDs (disease modifying anti rheumatic drugs)の併用、短期間の少量ステロイドの使用、生物学的製剤(Bio)の導入などにより格段の進歩を遂げ、寛解の導入と維持の達成が可能となった。

はじめに

 RA治療はMTXをアンカードラッグ(治療の中心となる薬剤)とし、効果不十分な場合にBioを用いる方針が確立した。我が国のMTX承認用量は長らく8mg/週までで、他のDMARDs無効時に使用できた。2011年に予後不良因子があれば第一選択薬として、また16mg/週まで使用可能になった。現在、DMARDsはconventional synthetic DMARDs (csDMARDs)、biological DMARDs (bDMARDs)、targeted synthetic DMARDs (tsDMARDs)に分類されている1)が、本稿ではcsDMARDsをDMARDs、bDMARDsをBioと呼称する。

1.関節リウマチ診療ガイドライン2014
 2014年に新しいガイドラインが作成された2)。MTX以外のDMARDs不応RA患者にはMTXの投与を推奨する、などMTXは推奨度が高かった。2004年のガイドライン発表時にはなかったタクロリムス(TAC)とイグラチモド(IGU)が弱いながらも推奨された。ミゾリビン(MZR)、ペニシラミン(PC)、オーラノフィン(AF)、アクタリット(ACT)、ロベンザリット(CCA)には推奨度が付かなかった。一方、すべてのBioは強く推奨された。

2. アンカードラッグのMTXを使いこなす
 リウマトレックス(R)は、2014年12月31日までに因果関係を否定できない死亡例が582例報告されている3)。死亡例の検討では60歳代以上の占める割合が多く、29.8%はわずか4mg/週の使用量で、2mg/週の使用患者も5.7%を占めている。高齢化により腎機能が低下した患者では低用量でも汎血球減少などの副作用が突然出現する。開始時は、結核、B型、C型肝炎ウイルスのスクリーニングが必須である。B型肝炎では、HBs抗原陰性で、HBs抗体またはHBc抗体陽性の既往感染患者からのde novo肝炎に留意し、陽性の場合はHBV-DNAを測定する。2.1log copies/mL以上になった場合はエンテカビルの投与を開始し、肝臓専門医にコンサルトを行う。当院では、発症早期に紹介を受けMTXで寛解導入して紹介元に戻し、以後は年に一回当院でチェックを行う連携システムを導入している。リスクのない患者では、従来の承認用量からの増量が有効で、私達は8mg/週を10.8±1.5mg/週に増量することにより、臨床的寛解を達成する症例が劇的に増加したことを報告した4)(図)。

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