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Unmet Medical Needs 2014秋

State of the arts◆前立腺癌
去勢抵抗性前立腺癌に治療のパラダイムシフト
筧 善行氏 香川大学 泌尿器科学 教授

2014/10/20

局所前立腺癌は制御可能に
 日本では前立腺癌の患者数が急速に増加してきており、2020年には男性の癌の中でトップになると予測されている。この背景には、人口の高齢化や食生活の欧米化、前立腺特異抗原(PSA)検査の普及などがあると考えられている。

 前立腺癌治療をめぐる最近の動きについて、香川大学泌尿器科学教授の筧善行氏はまず、手術と放射線治療の進歩を挙げる。

 2012年の保険適応に伴い急速に普及してきたロボット支援下前立腺全摘除術は、開腹術に比べて出血量が少なく、尿失禁や性機能低下を来しにくい。また、放射線治療では、前立腺内に線源を埋め込み、内部から照射する小線源治療が導入されたことで、直腸など周辺臓器への線量を最小限に抑えつつ、患部に十分量を照射できるようになった。体外からの放射線治療も、病変部により選択的な照射が可能になってきた。

 こうした治療法の進歩を踏まえて筧氏は、「局所の前立腺癌については完全に制御できる時代になった」と強調する。

 ただし、前立腺癌は悪性度によって予後が大きく異なり、無治療でも症状が進行しないケースもある。そこで、治療を行わず経過観察するPSA監視療法が注目されている。現在、同療法を検証する国際共同研究のPRIAS試験が進行中であり、日本からは筧氏らが中心になり35施設が参加している。

去勢抵抗性への新薬が相次ぐ
 一方、進行あるいは転移した前立腺癌に対しては、精巣の除去あるいは薬物による去勢が第一選択の治療法だが、平均2~3年で病勢の進行・再発を来すことが多い。この去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)と呼ばれる病態に対して、副腎や前立腺癌の細胞が自ら生成する微量なアンドロゲンの作用を抑制することで、再び病勢増悪を抑制できることが判明してきた。

 これまで、CRPCに対しては抗癌剤ドセタキセルなどが使われてきたが、薬剤の選択肢が限られており、大きな課題となっていた。そうした中、今年に入って新たな治療薬が相次いで発売された(図1)。アンドロゲンの合成に関わる酵素のCYP17を阻害するアビラテロン、アンドロゲン受容体拮抗薬であるエンザルタミド、そしてドセタキセル不応例に使用可能な抗癌剤カバジタキセルという3つの薬剤だ。

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