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パンデミックに挑む

日本でもジカ熱の輸入感染例が発生する可能性
臨床医は神経症状の合併の可能性について認識を

 ブラジルをはじめとする中南米でのジカ熱流行を受けて、日本国内の対応も動き出した。国立感染症研究所は1月20日にジカ熱(ジカウイルス感染症)のリスクアセスメントを発表。これを機に、厚生労働省は医療機関などに情報提供を呼び掛けるとともに、妊婦に対しては流行地への渡航を控えるよう注意喚起を出した。現在、感染症法の4類に指定する準備も進んでいる。

 感染研のリスクアセスメントによると、「中央および南アメリカ大陸、カリブ海地域では今後もしばらくはジカ熱の流行は続くと考えられる」とし、今後、流行地からの帰国者が日本国内でジカ熱と診断される症例が発生しうるとの見方を示した。

 ただし、ジカ熱の感染例はほとんどが軽症例であるため「輸入孤発例の公衆衛生上のインパクトは概して低い」との認識を示した。そのうえで、母子感染による胎児の小頭症の発生との関連については、「詳細な調査結果が得られるまでは、可能な限り妊婦の流行地への渡航は控えた方が良い」とした。

 また、ギラン・バレー症候群とのジカ熱との関連性については「現在調査中」としており、「国内での症例発生に備え、臨床医は神経症状の合併の可能性について認識していることが望ましい」と言及した。

 ジカ熱の国内での流行の可能性については、日本国内にもいるヒトスジシマカが媒介蚊であると示唆されているとし、「(おととしの)デング熱と同様に、輸入例を発端としたジカ熱の国内伝播の可能性は否定できない」と結論した。

 アセスメントでは今夏のリオデジャネイロでのオリンピック、パラリンピックにも触れた。これを機に、多くの邦人が流行地に渡航することから、渡航者や医療機関からの検査の要望が出てくると予測。「ジカ熱は特異的な臨床症状、検査所見に乏しいことから、どのような症例についてジカウイルス検査を実施すべきかの検討をまず行うべき」とした。また、妊婦については、ジカ熱の感染が疑われた症例に対応する体制を整えておくべきとした。 

 これを受けて厚労省は21日、各都道府県を通じ、医療機関に対してジカ熱の可能性例を診察した場合の情報提供を求めた。その際の参考情報として、「ジカ熱の臨床上の特徴」と「ジカ熱の流行地域」について情報を提示した(表1、2)。

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