エボラウイルス疾患(エボラ出血熱)による犠牲者は、患者への対応に追われる医療関係者らにも広がっている。WHOが9月18日に発表したリポートによると、9月14日までに確認された医療関係者の感染者数は318人、うち死亡は151人となった。
感染国別では、リベリアが172人(死亡85人)で最も多く、シエラレオネが74人(死亡31人)、ギニアが61人(死亡30人)、ナイジェリアが11人(死亡5人)となっている。地域によっては、水やせっけんにさえ不自由するという劣悪な環境下で、患者に対応せざるを得ない状況にあるという。医療関係者を守るため、WHOをはじめとする国際社会の支援が急がれる。
一方、情報共有という面で深刻だったのはナイジェリアだ。感染者全体(21人)の半数余が医療関係者となっている。医療関係者の死亡は8人中5人(62.5%)と高率だ。同国ではリベリアからの旅行者が空港で発症し、その後に死亡した患者が発端となっている。当初は空港から直ちに隔離施設のある医療機関に運ばれたなどと報じられていたが、最初にこの患者と接触した医療関係者らに、患者が感染国からの旅行者であるとの情報が正しく伝わっていたかどうか疑問だ。
ナイジェリアでは、ラゴス空港でこの患者と接触歴の可能性があった347人が21日間の監視期間を終え、4人が現在も監視下にある。また、患者が立ち寄ったポートハーコートでは、164人が21日間の監視期間を終えたが、359人が現在も監視下にある。
疑い例含む累計患者数は5357人、死亡は2630人
エボラウイルス疾患の患者総数は、疑い例も含め、9月14日現在で5357人とついに5000人を突破してしまった。死亡は2630人で致死率は58.9%となっている。
9月14日までの1週間で新たに報告されたのは991人(死亡412人)。1日当たり新規患者数は141.6人と、前回集計期間(9月6~7日)の211.0人よりは減少したが、依然として高水準にある(図1)。
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