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パンデミックに挑む

2010/2011シーズンへ向けて
抗インフルエンザ薬の特性を理解し使い分けを
日本臨床内科医会常任理事の岩城紀男氏に聞く

日本臨床内科医会常任理事の岩城紀男氏

 今年もインフルエンザ流行の季節が迫ってきた。パンデミックインフルエンザ(H1N1)2009の季節化への備え、ウイルスの病原性変化や耐性ウイルス出現への警戒など、例年以上に神経を使うシーズンとなりそうだ。その一方で、第4の抗インフルエンザ薬が登場するなど、治療の選択肢も広がった。日本臨床内科医会常任理事の岩城紀男氏(写真)は、それぞれの抗インフルエンザ薬の特性を理解して使い分けていく必要があると訴えている。

 特性を理解する一環として、日本臨床内科医会では、タミフル耐性ソ連型H1N1ウイルスの出現と広がりを機に使用頻度が高まっている吸入薬のザナミビル(商品名:リレンザ)を中心に使用実態調査を行っている。

 実施期間は2010年1月から2月にかけてで、日本臨床内科医会の会員全員にアンケートを送付、2月1日までに501人から回答を得た。

迅速診断キットで陰性例への対応は?

 アンケートではまず、迅速診断キット陰性例への対応を尋ねた。調査の実施時期は、新型インフルエンザ(pmH1N1 2009)の流行が続いていた時期に当たる。pmH1N1 2009の流行では、インフルエンザ症状があるものの、迅速診断キットで陰性である症例の報告が相次いでいた。

 そのような症例への対応は、「臨床診断に加え、患者さんの家庭や職場に感染者がいる場合には抗インフルエンザ薬を処方する」との回答が50.9%(260人)で大半だった。「早期治療のため、臨床診断のみで抗インフルエンザ薬を処方する」は17.6%(90人)であり、この2つをあわせると68.5%の医師は、抗インフルエンザ薬を処方すると回答していた。

 「とりあえずアセトアミノフェンなど解熱剤を投与し、翌日再検査する」は16.4%(84人)、「迅速診断キットで陽性が出なければ、抗インフルエンザ薬は処方しない」は10.2%(52人)だった。

 この点について岩城氏は、「迅速診断キット陰性例であるからといって、100%インフルエンザでないとは言い切れない。今回のパンデミックインフルエンザではそうした事例が多々あったわけで、抗インフルエンザ薬の“発症から48時間以内に投与”という早期治療を実践した医師が多かったということだろう」とみている。

抗インフルエンザ薬で最も重要な製品特性は「安全性」

 以下、使用実態調査の結果を紹介する。

 まず、抗インフルエンザ薬を選択する際、どのような製品特性に着目しているのかを明らかにした。

 重要な製品特性を挙げてもらったところ、「即効性」が92.4%と最も高く、「安全性」も87.7%と高率だった(図1)。以下、「エビデンスが豊富」が60.4%、「小児の適応がある」が59.2%、「持続性」が44.7%などで続いていた。

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