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第29回 日本医学会総会2015関西

【柱19】チーム医療の新しい展開
これまでのチーム医療、これからのチーム医療
滋賀医科大学医学部付属病院薬剤部教授・寺田智祐氏に聞く

2014/11/13

―― 高齢社会を迎えると患者の病態も変化します。

 高齢社会とはいえ、医療は進歩していますから、たとえ病気を持っていても日常的には元気に活動できる人が増えています。生活習慣病などの慢性疾患を複数持ちながら歳を重ねる方が多いということになります。

―― 慢性的な患者さんが増えると、それだけ医療現場の連携が必要になりますね。

 そうです。複数の合併症を持つ患者さんを数多く診るのは、医師一人ではとても困難です。チーム医療は必須です。つまり、医師、薬剤師、看護師などの多職種が協力しあって仕事を分担し、それぞれの専門性を活かして患者さんに当たることになります。

 薬剤師を例にとれば、病院だとすでに病棟や緩和ケアなどの医療チームで、チーム医療が実践できています。しかし、今後増えていくのは在宅での医療であり、そうなれば地域の薬局薬剤師の役割が大切になります。在宅では主に慢性期、回復期の患者さんの自宅でcure(病気の治療)やcare(維持期のケア)が行われます。地域を大きな病院ととらえると、各自宅が病室のような位置づけになりますので、地域を舞台とした各職域の連携は必ず必要になります。

―― チームの中で個々の専門職はどのように機能すべきでしょうか。

 チーム医療の中心は医師であることに変わりはありません。しかし、たとえば薬剤師の場合、薬の専門的な知識である副作用、相互作用、添付文書の内容などについて医師から相談を受けることはたびたびあります。

 病院でのチーム医療の例では、最近では「薬剤師外来」を設けている病院もあります。患者さんが医師の診察を受ける前に薬剤師との面談を持ち、「処方された薬を飲んで体調がどのようであるか」を聞き、薬剤師は医師に情報をつなぎます。

 今後、増加の予想される在宅医療では、薬剤師は従来の服薬指導に加えて、薬効、副作用モニタリングの結果を医師に報告し、薬の種類や量の調整を相談する役割も生じてきます。看護師、栄養士、介護職なども自分の専門分野の知識のみでなく、関連する病気の知識、症状を察知する視点を持った上で「今日、気づいた内容」を医師に伝える必要が生じます。このような各職種の自宅への往診は今後、大きく期待されています。

―― 今後のチーム医療にとって大切なことは何でしょう。

 まず、今後の医療を支えるためにチーム医療は必須であるという思いは、関係者の間で一致しています。厚生労働省でも「チーム医療推進会議」で審議を重ねており、チーム医療をスムーズに進めるには「コミュニケーション」「情報の共有」「チームマネジメント」の3つが重要であると考えています。しかし、実際の現場ではバックグラウンドの異なる職種間でコミュニケーションをとることには難しい課題もあります。チーム内の連携にあたっては職能の問題など、今後、法整備も必要になるでしょう。

―― 学術講演ではどのような議論が期待されますか。

 医師ほかメディカルスタッフ、行政、患者さんも参加し、複眼的にチーム医療を議論していただきますので、いろいろな立場の方々とご一緒にこの問題を考える絶好のチャンスになるでしょう。

 また、企画「医・薬・工学の連携が生み出す未来のサイエンス」では、他分野である薬学、工学研究が最先端の医療につながる可能性をご覧いただき、分野のボーダーレス化を実感いただけることでしょう。

 この柱の聴講対象は医師、メディカルスタッフです。特に、開業医の先生方は将来の在宅医療の中心となられますので、是非お出でいただき、活発な議論をお願いしたいと思います。また、今後のチーム医療の担い手となる医科系学生、医工連携にかかわる工学部の学生にも足を運んでほしいと思います。

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