日経メディカルのロゴ画像

骨粗鬆症
監修・岡崎亮(帝京大学ちば総合医療センター第三内科教授)

2015/02/06

※2016年3月1日、内容一部改訂

アブストラクト

  • 骨粗鬆症とは、骨密度の低下と骨質の劣化により、骨強度が低下し、全身の骨折リスクが増大した病態である。閉経後の女性に多く、骨折の最大の危険因子である。
  • 骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症に分類できる。発症率に関する報告は少ないが、日本国内の患者数は男性約300万人、女性約1000万人と推計されている。また、鑑別疾患として、骨粗鬆症類縁疾患がある。
  • 骨粗鬆症の診断は、脆弱性骨折の有無と、腰椎または大腿骨近位部DXA(dual-energy X-ray absorptiometry)による骨密度測定によってなされるのが基本であるが、身長低下や前彎などの自覚症状からも骨粗鬆症を疑うことができる。
  • 骨粗鬆症の治療目的は、骨折を予防し、QOLの維持、向上を目指すことである。さまざまな機序の治療薬が使用されるが、罹患期間が長い疾患であることを考慮し、有効性、安全性、治療継続のための利便性などのバランスを考慮しながら薬剤を選択する必要がある。

疾患概念

 骨粗鬆症とは、骨量が減少し、骨の質も劣化して骨がもろくスカスカの状態になり、骨折しやすくなった状態のことを指す。2000年に米国立衛生研究所(NIH)は骨粗鬆症を「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義した。骨強度は、骨密度(Bone Mineral Density)70%、骨質30%で規定されており、骨質には骨の微細構造や骨代謝回転、微小骨折の集積、骨組織の石灰化の程度などが含まれる。

 骨は、古くなった骨を破骨細胞が骨吸収によって壊し、骨芽細胞が骨形成により新たな強い骨を作るという骨代謝回転を繰り返すことによって、丈夫な構造を維持している。出生時の骨量は約30gにすぎないが、その後、学童期から思春期にかけて骨密度、骨量ともに上昇し、ピークを迎える。20歳前後で骨量は最大値となり、50歳前後までは比較的ゆるやかに維持される。女性では50歳前後の閉経に伴い女性ホルモン(エストロゲン)の急激な分泌低下が生じ、骨量の著しい減少が生じる。

 男性においても、加齢や生活習慣病などにより酸化ストレスの亢進が生じ、破骨細胞の活性化や骨芽細胞機能の低下、骨の重要な構成要素であるコラーゲンの分子間架橋の異常が起こる結果、骨吸収の亢進による骨密度の低下が認められる。しかし骨粗鬆症には他にも骨の脆弱性を高めるさまざまな因子が関与しており、患者の病態は一様ではない。

 最近の研究から、コラーゲンの分子間架橋の異常は、加齢や酸化ストレスによって増加する終末糖化産物(Advanced Glycation End Products:AGEs)により生じると考えられるようになってきた。コラーゲン架橋の異常は骨代謝回転とは独立した機序で生じるとみられており、AGEs量と相関する尿中ペントシジン値や血中ホモシステイン値が、骨質を評価できるバイオマーカーとして期待されている。

分類

 骨粗鬆症は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症に大別される。また、鑑別を要する病態に、骨粗鬆症類縁疾患が挙げられる。続発性骨粗鬆症は、骨強度の低下を来す特定の原因が認められる場合で、表1に示すように多彩な疾患が含まれる。骨粗鬆症類縁疾患は、骨強度の低下を来すものの骨粗鬆症とは病態が大きく異なる疾患のことであり、骨軟化症、多発性骨髄腫、悪性腫瘍の骨転移、骨パジェット病、線維性骨異形成症、強直性脊椎炎などが含まれる。

この記事を読んでいる人におすすめ