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高尿酸血症・痛風
監修・山中寿(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター所長)

2015/02/06

アブストラクト

  • 血清尿酸値が尿酸の飽和濃度を超えて高くなった状態を、高尿酸血症という。高尿酸血症の持続は、痛風関節炎や腎障害などの尿酸沈着症の病因となる。
  • 高尿酸血症は、その成因から、産生過剰型、排泄低下型、混合型に大別される。この分類は、特に薬物選択を行う際に有用である。
  • 高尿酸血症は、肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常など予後に影響する合併症を来しやすいため、高尿酸血症の発症に関連する生活習慣を改善することが大切である。
  • 薬物療法適応症例では、尿酸降下薬投与により血清尿酸値を6.0mg/dL以下に維持することが望ましい。

疾患概念

 血清尿酸値が尿酸の飽和濃度を超えて高くなった状態を、高尿酸血症という。高尿酸血症の持続は、痛風関節炎や腎障害などの尿酸沈着症の病因となる。高尿酸血症の基準値は、血清尿酸値が7.0mg/dLを超える場合で、性・年齢を問わない。近年、尿酸が生活習慣病のマーカーとして、また疾患発症の予測因子として重要であることが報告されつつあるが、その意義については確立していない。

 痛風関節炎は、高尿酸血症が持続した結果として、関節内に析出した尿酸塩結晶が惹起する結晶誘発性関節炎である。

 血清尿酸値は、将来の高血圧発症の独立した予測因子として捉えることが可能であるが、尿酸が心血管系疾患の独立した危険因子であるか否かについては、相反した報告がみられ確立されたものではない。すなわち、血清脂質異常が動脈硬化を助長することが示されているのに対し、尿酸が動脈硬化性疾患の危険因子である疑いは濃厚ではあるが、現時点ではまだ明確にされていない。

 高尿酸血症は、体内に尿酸が蓄積した状態であり、その成因から、(1)尿酸の産生が過剰である場合(産生過剰型)、(2)尿酸の排泄率が低下している場合(排泄低下型)、(3)その両者が合併している場合(混合型)に大別される。この分類は、治療、特に薬物選択を行う際に有用である。わが国の高尿酸血症患者の病型別割合は、産生過剰型が約10%、排泄低下型が50~70%、混合型が20~30%といわれている(山田純司 : 代謝疾患 第1版,オーム社, 136~163,2013.)。

 痛風関節炎のリスク因子として、7.0mg/dLを超える血清尿酸値、アルコール・肉類・砂糖入りソフトドリンク・果糖の多量摂取、高BMIが挙げられる。また、高尿酸血症の罹病期間が長く、また高度であるほど痛風結節を惹起しやすいと考えられている。一方、コーヒー摂取、ランニング、適度な運動の日常的実施などは、痛風を惹起しにくくする要因と考えられている(日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』37~52,2010.)。

疫学

■高尿酸血症・痛風の現状と推移

 最近のわが国における2つの大規模な調査結果では、高尿酸血症の頻度は、成人男性において21.5%あるいは26.2%と報告されている。年齢別の頻度では、30歳台、40歳台に最も多く、30歳代の頻度は30%に達し、発症年齢の若年化も示唆され、10歳代における高尿酸血症の頻度も16.3%にのぼる。女性では、閉経後に血清尿酸値が上昇する。わが国の女性の閉経年齢は45~55歳とされているが、職域における調査では、女性の高尿酸血症の頻度は、50歳未満で1.3%、50歳以降で3.7%と約3倍高率となる(日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版』32~36,2010.)。

 厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、2004年の調査で「痛風で通院中」と回答した者は全国で87万4000人となっている。この患者数は、1986年と比べて3.4倍、1995年と比べて2.1倍となっており、患者数は増加しているものと推定される。

臨床

■診断法

〈1〉高尿酸血症・痛風を疑う愁訴・症状
 高尿酸血症においては、血清尿酸値が高値であっても無症状である。このため、健康診断や他疾患などで医療機関を受診し、採血検査で高尿酸血症を指摘されることが多いと考えられる。

 痛風発作は、関節内に析出した尿酸塩結晶によって惹起される急性関節炎であり、おもに第1中足趾節(MTP)関節など、下肢の関節に好発する。痛みの発症初期に発症部位に違和感を持つこともある。関節炎は、通常単関節に急性に生じ24時間以内に極期に達する。疼痛、発赤、腫脹、熱感を伴い、激痛のため歩行困難となることもある。関節炎症状は、10~14日間で軽快し、その後ほぼ完全に消失する。高尿酸血症・痛風の治療が長年にわたり十分になされない場合、発作は頻発して慢性化し、さらに複数の関節に出現するようになる。

 また、皮下組織などに沈着した尿酸塩結晶が互いに癒合して大きくなり、その周囲を肉芽組織が取り囲んだ無痛性の痛風結節が出現したり、尿酸塩結晶が腎髄質の尿細管および間質組織に沈着して生じる痛風腎と呼ばれる間質性腎炎を併発したりすることもある。

〈2〉初診時に必要な検査
 高尿酸血症の産生過剰型、排泄低下型、混合型の3病型の分類は、尿酸の産生量と排泄率を評価することにより行う。すなわち、尿酸クリアランスおよびクレアチニンクリアランス、尿中尿酸排泄量を測定して分類する。尿中尿酸排泄量は、体内尿酸産生量と相関し、尿酸クリアランスは、尿酸の排泄効率の指標となる。腎機能障害の結果、尿酸クリアランスが低下する場合があるため、クレアチニンクリアランスの測定も併せて行う(図1)。

 痛風関節炎の検査では、血清尿酸値を測定する。ただし、発作中の血清尿酸値は必ずしも高値を示さない。また、関節液に穿刺し、スライドグラス上で負の複屈光性を示す針状結晶が白血球に貪食されている像を確認すると、痛風の診断は確実である。罹病期間の長い症例では、耳介、肘関節などに好発する痛風結節を検索する。

 さらに、他疾患との鑑別も含め、CT、MRI、超音波検査が用いられる。

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