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慢性腎臓病
監修・槇野博史(岡山大学病院長)

2015/02/06

アブストラクト

  • 慢性腎臓病(CKD;chronic kidney disease)とは、原疾患にかかわらず、(1)腎障害(蛋白尿など)と(2)腎機能低下〔糸球体濾過量(GFR)<60mL/分/1.73m2〕のいずれか一方、または両方が3カ月以上持続する状態を包括した概念である。
  • 慢性腎臓病(CKD)の重症度は、原疾患(cause:C)、腎機能(GFR:G)、蛋白尿(アルブミン尿:A)による「CGA分類」で評価する。
  • 慢性腎臓病(CKD)の治療目的は、末期腎不全(ESKD;end stage kidney disease)と心血管疾患(CVD;cardio vascular disease)の発症および進展を抑制することで、「かかりつけ医」との連携が不可欠であり、集学的治療が必須となる。

疾患概念

 慢性腎臓病(CKD)とは、原疾患にかかわらず、(1)腎障害(尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に「蛋白尿」の存在が重要)と、(2)腎機能低下〔糸球体濾過量(GFR)<60mL/分/1.73m2〕のいずれか一方、または両方が3カ月以上持続する状態を包括した概念である。この定義は2002年に米国腎臓財団(NKF)が提唱し、その後世界中に広まった。

 CKDは、透析治療や腎移植が必要となる末期腎不全(ESKD)だけではなく心血管疾患(CVD)の危険因子でもあり、CKD対策の推進が不可避である。そこで2004年には国際組織としてKidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)が設立され、わが国では日本腎臓学会が中心となってさまざまな施策を講じている。

■重症度分類

 CKDの重症度は、従来、腎機能の程度(GFR)で5段階(ステージ1~5)に分類されていた。その後、(1)GFRに加えて蛋白尿(アルブミン尿)も独立した危険因子であること、(2)GFR 45mL/分/1.73m2を境界に予後が異なること、(3)原疾患によりCKDの進行や予後が異なることが確認され、2012年にKDIGOは分類を変更した。

 KDIGOによる改訂を受けて、わが国も日本人用に改変した「CGA分類」に改訂した(表1)。CGA分類では、「原疾患(cause:C)」〔糖尿病またはそれ以外(非糖尿病)〕、「GFR(G)区分」(腎機能の程度:G1~G5、G3はGFR 45mL/分/1.73m2を境界にG3aとG3bに分割して6段階)、さらに「蛋白尿(アルブミン尿:A)区分」(A1~A3)を組み合わせたステージで評価する。また保険適用上、わが国の蛋白尿区分は、糖尿病では尿アルブミンを、非糖尿病では尿蛋白を用いる。

 重症度の表記は「糖尿病G2A2」や「不明G4A3」などと詳細に記載するか、従来の「CKDステージG4」という表記も使用されている。

■発症因子

 CKDの発症因子は、高齢、CKD家族歴、過去の健診での尿・腎機能・腎形態の異常、脂質異常症、高尿酸血症、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)などの常用、急性腎不全の既往、高血圧、耐糖能障害や糖尿病、肥満、膠原病、感染症などが知られている。

■疫学

 わが国のCKD患者数は、2005年には成人人口の12.9%(1329万人)で成人の約8人に1人を占めていた。また、わが国の2008年度の特定健診受診者〔40~74歳(平均63.6歳)、n=33万2174、男性40.6%〕を新KDIGO分類で解析すると、推算GFR(eGFR)<60mL/分/1.73m2は全受診者の14.5%であった。

 CKDは動脈硬化を進展させてCVDを発症するが、CKDとCVDの危険因子の多くは共通しているため、危険因子の改善や治療によって両者の発症・進展抑制が期待できる。また海外ではCKD患者の予後は透析導入よりもCVDによる死亡のほうが多いとの報告もあり、CKD対策としてESKDだけではなくCVDも重要となる。

検査および診断

 わが国の「尿試験紙」と「血清クレアチニン(Cr)値」を使用した健診システムはCKDの早期発見に有効である。まずは検尿異常を見逃さないことが重要である。

 日常臨床では、CKDは「蛋白尿≧0.15g/gCrおよびGFR<60mL/分/1.73m2」で診断される(表1)。CKD診断後も、定期的に尿検査と血清Cr値を用いたeGFR評価により腎機能を把握し、さらにCVDの有無を負荷心電図などにより確認する。CKDの画像診断としては腎超音波検査、単純X線(尿路造影)、CT、MRIまたは血管造影などが行われる。

■尿所見の評価

 検尿(蛋白尿、血尿)は簡便で安価で正確性が高く、臨床症状が乏しい慢性糸球体腎炎などの早期CKDの発見に適している。尿試験紙法では「≧1+」を尿異常として蛋白定量を行う。随時尿による蛋白尿〔尿蛋白/Cr比(g/gCr)で評価〕は正常(<0.15)、軽度(0.15~0.49)、高度(≧0.50)に分類され、「軽度以上(≧0.15g/gCr)」を陽性とする(表1)。

 血尿は、初回陽性時点で画像検査を含めた精密検査を行い尿路異常の有無を確認する。40歳以上の無症候性血尿では尿路悪性腫瘍の可能性が高くなる。また血尿単独例のうち約10%が経過中に蛋白尿陽性となることが知られている。

 糖尿病性腎症の早期診断にはアルブミン尿の検査が重要であり、随時尿を用いた免疫測定法で3回中2回以上、尿アルブミン/Cr比(ACR)が30~299mg/gCrのとき「微量アルブミン尿陽性」と診断される。しかし、「アルブミン定量精密測定」として、保険適用とされているのは「糖尿病または早期糖尿病性腎症患者であって、微量アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期または第2期のものに限る)に対して行った場合に、3か月に1回に限り算定できる」とされており、他の疾患では認められていないため注意が必要である。

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