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インフルエンザ診療
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シリーズ◎今冬のインフルエンザで気掛かりなこと(8)
H3N2亜型にはワクチンが効かない?
立ちはだかる抗原性ミスマッチの壁

 今冬のインフルエンザで気掛かりなことの中で、ワクチンに付きまとう懸念も払拭できない。効果に悪影響を及ぼす「抗原性ミスマッチ」のリスクが存在するからだ。

 次シーズンの国内のインフルエンザワクチン株は、世界保健機関(WHO)が2月下旬に発表する推奨株を参考に、国内外の流行ウイルスの動向、流行ウイルスの抗原性などの性状、ワクチン接種後のヒト血清抗体との反応性、ワクチン株候補の製造効率などを評価して、4月に決定される。しかし、決定後から次シーズンのワクチン販売までの間(つまり4月から10月まで)に、ワクチンの元になるウイルスとは性状の異なるウイルスが流行することがあり得る。このとき、両者の抗原性が大きく異なると、ワクチン効果は低下すると考えられている。

 加えて近年は、A/H3N2亜型ワクチンの製造過程における「卵馴化」(図1)が世界的な問題になっている。インフルエンザワクチンは、発育鶏卵を使って製造される。発育鶏卵で継代培養してワクチン株ウイルスを増やすが、この過程において鶏卵内でウイルスが増えやすいように変化することがあり(これを卵馴化という)、この変化のため、抗原性が変わることがある。実際に流行したウイルスとワクチン製造株の抗原性が異なっては元も子もない。しかし、この卵馴化は、前シーズンも起こっていた。

図1 発育鶏卵で継代増殖を続ける過程で起こる卵馴化で抗原性が変異するイメージ(感染研インフルエンザウイルス研究センターの図を基に作成)

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