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循環器・糖尿病診療
のNew Stage

Circulationから
SGLT2阻害薬は糖尿病患者の心房細動発症を抑制
DECLARE-TIMI 58試験の事後解析

2020/03/04
佐古 絵理=メディカルライター

 DECLARE-TIMI 58試験の事後解析から、SGLT2阻害薬ダパグリフロジンの投与によって心房細動/心房粗動(AF/AFL)のリスクが低下することが示された。結果は2020年1月27日にCirculation誌オンライン版に掲載された。

 アテローム性心血管疾患(ASCVD)の既往があるか、ASCVDの危険因子が複数ある2型糖尿病患者1万7160例を対象に、標準治療と標準治療にダパグリフロジンの上乗せを比較したDECLARE-TIMI 58では、ダパグリフロジン投与群で心血管死亡+心不全による入院が減少し、主要有害心イベント(MACE:心血管死亡、心筋梗塞、脳卒中の複合)はプラセボ投与群に対して非劣性だった(関連記事)。SGLT2阻害薬には血圧低下といった心血管保護作用が報告されていることから、DECLARE-TIMI 58の事後解析として、ダパグリフロジン投与とAF/AFLの関連が検討された。

 今回の事後解析では、主治医の判断で安全性データベースに登録された「atrial fibrillation(心房細動)」、「atrial flutter(心房粗動)」の検索によりイベントを特定した。ベースラインの心電図は、治験実施計画書で必須とされていなかったため入手できなかった。解析はintention-to-treatの原則に従って行った。

 中央値で4.2年間の追跡中、589例に769件のAF/AFLが発生した。2回発生した人は124例、3回は36例、4回以上発生した人は20例だった。登録時にAF/AFLの既往があった患者は1116例(6.5%)だった。AF/AFLを発症した患者は、高齢で、BMIが高く、ASCVDや心不全の既往があり、ベースラインのeGFRが低い傾向にあった。

 ダパグリフロジン群はプラセボ群に比べ、AF/AFLの初発リスクが19%抑制された(264件対325件、1000人・年あたり7.8件対9.6件、ハザード比[HR]:0.81、95%信頼区間[95%CI]:0.68-0.95、P=0.009)。また、初発か再発かを問わないAF/AFLの総件数も、ダパグリフロジン群の方が低率だった(337件対432件、罹患率比0.77、95%CI:0.64-0.92、P=0.005)。

 サブグループ解析でも、AF/AFL(既往者のHR:0.79、95%CI:0.58-1.09、非既往者のHR:0.81、95%CI:0.67-0.98、交互作用のP=0.89)、ASCVD(既往者のHR:0.83、95% CI:0.66-1.04、非既往者のHR:0.78、95%CI:0.62-0.99、交互作用のP=0.72)、心不全(既往者のHR:0.78、95%CI:0.55-1.11、非既往者のHR:0.81、95%CI:0.68-0.97、交互作用のP=0.88)の既往の有無にかかわらず、ダパグリフロジンのAF/AFL抑制効果は一貫していた。年齢、性別、HbA1c、BMI、収縮期血圧、eGFR別でも同様だった。

 著者らはDiscussionにおいて、SGLT2阻害薬によるAF/AFLリスクの軽減について、考えられる機序をいくつか挙げている。まず、SGLT2阻害薬は利尿を促し心房拡張を軽減する。また、AFの発生率や重症度の上昇に関連する心外膜脂肪を減らすほか、AF/AFLを助長する要因である高血圧、体重増加、炎症や酸化ストレス、交感神経活性亢進などを抑制する。さらに、2型糖尿病患者のAFリスクは血糖値の変動(特に低血糖)によって高まるが、SGLT2阻害薬は比較的低血糖リスクが低いことも、AF/AFLへの効果の一因となっている可能性があると述べている。

 DECLARE TIMI-58試験は、AstraZeneca社の資金援助により実施された。


論文:
Zelniker TA, et al. Effect of dapagliflozin on atrial fibrillation in patients with type 2 diabetes mellitus: insights from the DECLARE-TIMI 58 trial. Circulation. 2020 Jan 27. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.119.044183.

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