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Anti Thrombotic Therapy.2016

AHAリポート 1
PAD合併の透析患者において、シロスタゾールはTLRを抑制し長期予後を改善

2010/01/25
日経メディカル別冊

名古屋共立病院循環器センターの熊田佳孝氏

 シロスタゾールは、血管拡張作用と平滑筋増殖抑制作用を併せ持つ抗血小板薬であり、末梢動脈疾患PAD)における血管内治療PTA)後の標的病変血行再建TLR)を抑制すると報告されている。また、動脈硬化のリスクが高い透析患者においても、シロスタゾールはPTA後の開存率を改善することも報告されている。

 そこで、名古屋共立病院循環器センターの熊田佳孝氏らと名古屋大学循環器内科の石井秀樹氏らの共同研究チームは、PAD合併透析患者におけるPTA後の長期予後に、シロスタゾールがどのような影響を与えるかを検討し、米オーランドで開催された米国心臓協会学術集会2009(AHA 2009)で報告した。

 対象は、PADに対するPTAが成功した透析症例258例(連続症例)、492病変。対象をシロスタゾールが投与された88例(シロスタゾール群)と投与されなかった170例(対照群)に分け、7年間追跡している。また、シロスタゾール投与症例選択のバイアスを最小化するために、年齢、性、既知のリスクファクター、潰瘍・壊疽、TASCのC・D病変、大腿膝窩動脈病変、ステント留置などの因子を入れたモデルによって、1:1のpropensity score matchingも行っている。

 39±33カ月の追跡期間中に、TLRが行われたのは87例(33.7%)、下肢切断が行われたのは39例(15.1%)、死亡したのは72例(27.9%)だった。また、死亡のうち、心血管疾患によるものは36例(14.0%)だった。

 シロスタゾール群と対照群の7年イベント発生率を比較(シロスタゾール群 vs 対照群)すると、TLRは31.1% vs 49.3%(p=0.018)、下肢切断は12.1% vs 24.9%(p=0.0086)、心血管死は10.8% vs 34.5%(p=0.0025)、総死亡は29.4% vs 52.7%(p=0.0005)だった。コックス多変量解析を行った結果では、シロスタゾールは、これらすべてのエンドポイントについて独立した予測因子となっていた。

 各群78例としたpropensity score matchingの結果でも、イベント発生率はシロスタゾール群で有意に少なく、TLRは33.5% vs 56.2%(p=0.018)、下肢切断は14.0% vs 28.3%(p=0.013)、心血管死は19.1% vs 31.5%(p=0.0047、図1)、総死亡は36.1% vs 54.6%(p=0.0048、図2)だった。

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