日経メディカルのロゴ画像

Anti Thrombotic Therapy.2016

【間欠跛行 エキスパートインタビュー】
足背動脈の触診や画像診断だけで、間欠跛行の責任病変を診断するのは危険
獨協医科大学越谷病院 整形外科准教授 飯田尚裕氏

2010/01/18

獨協医科大学越谷病院整形外科准教授の飯田尚裕氏

 間欠跛行を呈する疾患には、神経性の脊柱管狭窄症LCS)と血管性の末梢動脈疾患PAD)があり、最近は両疾患を合併している患者が多いことも明らかになってきた。そこで、その鑑別のポイントと治療の実際について、獨協医科大学越谷病院整形外科准教授の飯田尚裕氏(写真)にうかがった(日経メディカル別冊)。

―― 近年、間欠跛行を訴える患者さんは増えていますか。

飯田 われわれ整形外科医は、主に神経性の間欠跛行を診ています。近年、特に増えてきたという印象はありませんが、間欠跛行を訴える患者さんは、60歳代以上の高齢者に多いので、高齢化とともに患者さんが増えている可能性は高く、外来診療で診ることは非常に多いです。

―― 間欠跛行を呈する疾患には、神経性のLCSと血管性のPADがありますが、その鑑別方法をお話しいただけますか。

飯田 LCSでは、加齢などによって黄色靱帯の変性肥大や椎間板の膨隆によって脊柱管内の神経組織が圧迫されて、腰部や下肢の痛み、しびれが生じます。一方、PADは下肢血管の動脈硬化によって血液供給が不足するために痛みが惹起されます。

 両疾患とも歩行によって生じる間欠跛行が特徴的な症状ですが、姿勢の影響は両疾患で大きく異なっています。すなわち、LCSによる間欠跛行は前屈姿勢で改善し、PADによる間欠跛行は立ち止まることによって症状が改善します。例えば、歩くのは困難でも自転車にはいくらでも乗れる、スーパーのカートを押していると楽に歩ける、これらはLCSの特徴です。また、痛みに日内変動があるのもLCSの特徴で、特に夕方につらい症状が出ると言われています。

 LCSとPADでは疼痛部位にも違いがあります。LCSでは腰痛を伴う下肢痛が主で、神経根型は足部に向かって背側を走る放散痛を伴い、片側性のことが多く、馬尾型では両側性で下肢痛は伴わず、排尿・排便障害や尿意切迫感がみられることもあります。一方、PADでは下肢痛のみで、腓腹部に限局することが多いと言われています(表1)。

この記事を読んでいる人におすすめ