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Anti Thrombotic Therapy.2016

【間歇跛行エキスパートインタビュー】
腰痛や下肢のしびれで受診する患者には血液検査も重要
済生会金沢病院副院長・金沢大学医学部整形外科臨床准教授 横川明男氏

2009/06/12

済生会金沢病院副院長・金沢大学医学部整形外科臨床准教授の横川明男氏

 整形外科医がプライマリドクターとなることの多い間歇跛行は、腰部脊柱管狭窄症(LCS)と末梢動脈疾患(PAD)にみられる症状で、適切な治療を行うためには両者の鑑別が重要となる。そこで、LCSとPADの鑑別の注意点、治療の実際、今後の課題などについて、済生会金沢病院副院長・金沢大学医学部整形外科臨床准教授の横川明男氏(写真)にお話をうかがった(日経メディカル別冊)。

―― 間歇跛行を主訴に受診する患者さんは、どのくらいいらっしゃいますか。

横川 1カ月に50人ぐらいです。主に70歳以上の高齢者ですが、なかには40~50歳代の患者さんもいます。こうした熟年層では、ヘビースモーカーの割合が高いという印象をもっています。男女比は7:3ぐらいで、圧倒的に男性が多くなっています。

―― 間歇跛行の原因疾患としては、LCSとPADがありますが、両者の割合あるいは合併率はどの程度ですか。

横川 当院の外来を受診する方は、紹介患者さんがほとんどのため、かなり症状が悪化している方が多く、なかには手術を考慮すべき患者さんもいます。そういう母集団において、間歇跛行の原因がPADだけの患者さんは約5%です。一方、両者を合併している患者さんは、間歇跛行を訴える方の15%ぐらいではないかと思われます。

―― 他疾患の合併率はどうでしょうか。

横川 PADの患者さんでは冠動脈疾患や脳梗塞を合併している場合が少なからずあります。例えば、PADと診断された患者さんに対して脳の画像検査を行うと、小さい脳梗塞が見つかることは稀ではありません。一方、LCSの患者さんでは、他の疾患を合併している割合は、少ないと言えます。

―― 次に、間歇跛行の患者さんに対する診断について、具体的にお話しください。

横川 まず、間歇跛行の有無を確認する場合、患者さんに「間歇跛行」と話しても理解していただけませんから、「歩けますか」「途中で休めば歩けますか」「休息しないでどれだけ歩けますか」などと聞きます。さらに、診察室を出て駐車場までとか、電柱を2つ分とか、停留所1つ分の距離など、具体的な目安を作って歩行距離を確認することも大切です。

 また、「スーパーマーケットではカートを使った方が楽ですか」「カートを使わない場合、どれくらい歩けますか」といった日常生活の指標も目安になります。特にLCSでは、カートを使うとかなり歩けることが多いので、問診のポイントになります。

 触診では、主に足背動脈や外頸動脈の拍動を確認していますが、脈が触れない方は非常に少なく、触れない場合は重症だと考えられます。逆に、触れるけれどもPADが疑われる方がかなりいます。

 冷感や皮膚温も大変参考になります。「足の冷えをよく感じますか」と聞くと、「冷える」と言う人と、逆に「ほてる」と言う人もいます。「ほてる」という人は温かくてほてるのではなく、しもやけのように「冷えた後に急にほてる」と言われる方もいます。このような、ほてりもPADの症状の1つです。

 足の皮膚に、まだら模様あるいは豹柄の模様が現れている人がいます。毛細血管がこのような状態になっている場合は、高脂血症などで血流障害があると考えられます。また、ヘビースモーカーの患者さんでは、代謝障害がなくても、そのような状態がみられることがあります。

―― 検査は、どのようにされていますか。

横川 ABI検査と脊柱のX線検査は、すべての患者さんに行っています。椎骨の骨棘、椎間板のずれ、あるいは狭窄がみられれば、整形外科的な原因があることがわかります。さらに、患者さんによってはMRI検査も行います。

 ABIに異常がみられた場合は、足を冷水に5~10分つけた後に測定する「負荷サーモグラフィ」を行っています(図1)。ABIと同様、サーモグラフィでも左右差が重要です。LCSでは左右差がみられることは少ないのですが、PADでは左右差が特徴です。

 サーモグラフィの結果は、ビジュアルに表示されるため、患者さんに疾患の進展状況や治療効果を説明する時にも有効です。

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