
東京女子医科大学脳神経センター神経内科学教授の内山真一郎氏
非心原性脳梗塞患者の脳卒中再発抑制において、シロスタゾールはアスピリンよりもすぐれていることが、両薬剤を比較した大規模臨床試験CSPS II(Cilostazol Stroke Prevention Study 2)とCochrane Collaborationのメタ解析で示されている。その後、CSPS IIの対象者をサブグループに分け、シロスタゾールとアスピリンがそれぞれのグループにおいて、どのような効果と安全性を有しているか、解析が進められていた。その成果を、東京女子医科大学脳神経センター神経内科学教授の内山真一郎氏が、米ニューオーリンズで開催されたISC2012(国際脳卒中学会)で報告した。
サブグループ解析では、CSPS IIの対象者となった日本人2672人を、性別、年齢(65歳未満と以上)、脳梗塞病型、BMI(25kg/m2未満と以上)、喫煙、飲酒、高血圧、糖尿病、脂質異常、糖尿病治療薬併用、ARB併用、カルシウム拮抗薬併用、ACE阻害薬併用、スタチン併用の有無によって分けた。
各サブグループの特徴をみると、性別は男性の比率が71.7%と女性よりも高く、脳梗塞病型別ではラクナ梗塞患者が65.2%と多かった。また、高血圧がある患者は73.6%、BMIが25 kg/m2未満の患者は66.5%、非喫煙者は70.5%、糖尿病なしの患者は71.0%で、それぞれ過半数を占めていた。その他の項目に関しては、サブグループ内で大きな差はみられなかった。
解析の結果、シロスタゾール群とアスピリン群の脳卒中リスクに関しては、「ARB非併用グループ」でシロスタゾール群の46%の相対リスク減少が示され、有意な相関が認められた(P=0.0267)。また、「飲酒ありのグループ」においてシロスタゾール群で43%の相対リスク減少、「脂質異常がないグループ」においてシロスタゾール群で39%の相対リスク減少が示され、それぞれ交互作用の傾向が認められた。
脳梗塞の病型別の脳卒中リスクをシロスタゾール群とアスピリン群で比較すると、シロスタゾール群ではアテローム血栓性脳梗塞で32.0%、ラクナ梗塞で24.8%の相対リスク減少が認められたが、統計的に有意ではなかった。一方、脳出血リスクに関しては、ラクナ梗塞患者において、シロスタゾール群で65%の有意な相対リスク減少が認められた(P=0.0030、図1)。