日経メディカルのロゴ画像

Anti Thrombotic Therapy.2016

【ASENTリポート】No.2
人種・民族差、外国データの扱いなどを議論
国際シンポジウム・薬事行政における今後の課題

 2011年2月、米メリーランド州ベセスダで開催された第13回米国実験的神経治療学会年次総会(American Society for Experimental NeuroTherapeutics 13th Annual Meeting:ASENT)の国際シンポジウムで、薬剤の効果・有害事象の発現における人種民族差、プラセボ対照の意義、薬剤認可における外国データの扱い方などをめぐって、欧米の薬事行政担当者らが報告を行った。

薬剤の効果・安全性における人種・遺伝背景の重要性

 薬剤の効果や有害事象の発現に遺伝子変異が関与していることが知られるようになり、薬剤ゲノム学(pharmacogenomics)や薬剤遺伝学(pharmacogenetics)のデータが重要視されるようになっている。そのため、医薬品規制調和国際会議(ICH)は、2010年に薬物応答に関連するゲノムバイオマーカーのデータを規制当局に提出する際の記載要領などに関する指針(ICH E16)を出した。米国食品医薬品局(FDA)のIssem Zineh氏は、それらの動向について講演した。

 米国では、2005年に「薬剤遺伝学データ提出に関する指針」を出し、その後、臨床試験に関しても薬剤遺伝学と関連する指針を出している。FDAの薬剤評価研究センター(CDER)のゲノム部門では、薬剤遺伝学に関連するデータを評価する件数が急激に増加。FDAと欧州医薬品局(EMA)では、臨床試験の初期の段階における薬剤遺伝学データの扱い方に関して、DNA情報の収集と保存、薬物動態や安全性における民族差などに関して推奨を行うようになっている、と同氏は述べた。

 また、黒人の心不全患者を対象に行われた米国の臨床試験African-American Heart Failure Trial(A-Heft)では、プラセボに比べて、イソソルビドとヒドララジンの合剤で死亡率が43%抑制されたことから、黒人に対する適応が記載されたほか、いくつかの薬剤の効果や用量に関しても民族差に注意が向けられるようになっている、と指摘した。

 さらに同氏は、外国で行われる臨床試験の方法、データの解釈などに関して、人種・民族や遺伝的背景の差を考慮することが重要になっており、薬剤の規制や開発は薬剤遺伝学の面からの考慮に基づいて変化しつつあると述べた。

■演題名:Pharmacogenetics: Global Regulatory Issues

この記事を読んでいる人におすすめ