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Anti Thrombotic Therapy.2016

【ISC 2011リポート】No.8
頸動脈狭窄症の治療におけるCASとCEAの効果を比較した欧米の主要試験結果を検討

 頸動脈狭窄症治療におけるステント留置術CAS)と内膜剥離術CEA)を比較した北米の大規模臨床試験CRESTCarotid Revascularization Endarterectomy vs Stenting Trial)の結果が詳細に報告されたのを受けて、米ロサンゼルスで開催された国際脳卒中学会(ISC2011)のCarotid Angioplasty and Stenting Versus Endarterectomy(Debate)のセッションでは、CASとCEAを比較した欧米の主な試験結果が検討された。

 このセッションでは、主にCRESTと、ヨーロッパのSPACE(Stent-Protected Angioplasty versus Carotid Endarterectomy、n=1200)、EVA-3S(Endarterectomy versus Angioplasty in Patients with Symptomatic Severe Carotid Stenosis、n=527)、ICSS(International Carotid Stenting Study、n=1713)の結果が検討された。

CASとCEAの安全性
周術期の脳卒中と死亡は同等ではない


 英国のUCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)神経学研究所のJorg Ederle氏は、安全性(周術期の成績)と有効性の観点から、主にヨーロッパの3試験の結果について考察した。

 CRESTは、症候性および無症候性の頸動脈狭窄症症例を対象にしており、その結果、主要評価項目(30日以内の脳卒中・心筋梗塞・死亡+4年までの同側脳卒中)の発生率は、CAS群(n=1262)7.2%、CEA群(n=1240)6.8%、周術期(30日以内)の脳卒中・心筋梗塞・死亡は、CAS群5.2%、CEA群4.5%で、いずれについても両治療群間に有意差はみられなかった。

 ヨーロッパの3試験は、いずれも症候性頸動脈狭窄症症例を対象にCASとCEAを比較しており、SPACEでは、主要評価項目(30日の同側脳梗塞・死亡)はCAS群(n=599)6.8%、CEA群(n=584)6.3%で同程度であったが、CASの非劣性は示されなかった。

 EVA-3Sでは、主要評価項目(30日の脳卒中・死亡)は、CAS群(n=261)9.6%、CEA群(n=259)3.9%で、CAS群のリスクが有意に高かった。

 ICSSの暫定的な主要評価項目(120日の脳卒中・死亡・周術期心筋梗塞)は、CAS群(n=853)8.5%、CEA群(n=857)5.2%で、CAS群のリスクが有意に高く、特に脳卒中はCAS群65例に対してCEA群では35例だった。

 これらの結果から、Ederle氏は「CASとCEAの安全性(周術期の脳卒中と死亡)は同等ではない」と述べた。

 SPACE、EVA-3S、ICSSのデータを合わせて行ったメタ解析であるCSTC(Carotid Stenting Trialists’ Collaboration)の結果では、主要評価項目(120日の脳卒中・死亡)の相対リスクはCAS群で有意に高かった(ハザード比[HR]:1.57)。70歳未満ではCAS群とCEA群の間に有意差はみられなかったが、70歳以上ではCAS群での発生率は約2倍で、有意に高かった。また、EVA-3Sの4年までの脳卒中・周術期死亡は、CAS群14.2%、CEA群9.1%で、CAS群のリスクが有意に高かった。これは周術期の成績の差によっており、中期では両治療群のリスクは同程度だった。SPACEの2年までの結果でも、同様の結果が示されている。これらの結果から同氏は「中期でみた場合、CASとCEAの効果は同等だが、長期的なデータが必要とされる」と述べた。

 無症候性頸動脈狭窄症症例に対するCEAの脳卒中抑制効果を検討したACST-1(10 years stroke prevention after successful carotid endarterectomy for asymptomatic stenosis)の結果では、術後5年と10年において、CEA群では血行再建術をしなかった群に比べて脳卒中の有意な抑制がみられている。

 一方、HPS(Heart Protection Study)とSPARCL(Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels)の結果では、頸動脈狭窄症症例においてCASあるいはCEAの必要性がスタチンによって低下したことが示されていることから、ESCT-2(2nd European Carotid Surgery Trial)では、脳卒中リスクが低~中程度の頸動脈狭窄症症例において最適内科療法(OMT)単独とOMT+血行再建術の脳卒中抑制効果が比較されることになっている。

■演題名:Single Trial Results in Carotid Endarterectomy and Carotid Angioplasty and Stenting

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