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Anti Thrombotic Therapy.2016

【ISC 2011リポート】No.1
CSPS 2とCASISPの結果を統合解析しシロスタゾールの有効性と安全性を評価

国家公務員共済組合連合会立川病院院長の篠原幸人氏

 日本人脳梗塞症例を対象に、シロスタゾールアスピリンの再発予防効果を比較検討したCSPS 2Cilostazol Stroke Prevention Study 2)と、中国人脳梗塞症例を対象に同様の検討を行ったCASISPCilostazol versus Aspirin for Secondary Ischaemic Stroke Prevention)の成績を統合した解析結果が報告された。CSPS 2研究グループ代表で国家公務員共済組合連合会立川病院院長の篠原幸人氏(写真)らが、米国ロサンゼルスで開催された国際脳卒中学会(ISC2011)で発表した。

 CSPS 2では、発症26週以内の非心原性脳梗塞症例をシロスタゾール投与群(1337例)とアスピリン投与群(1335例)に無作為に割り付け、シロスタゾールのアスピリンに対する非劣性を検証し、さらにシロスタゾールの有効性と安全性が評価された。平均追跡期間は29±16カ月で、主要評価項目とされた脳卒中の発症率は、シロスタゾール群2.76%(年発症率、以下同)、アスピリン群3.71%で、その差は有意だった。

 一方のCASISPでは、発症後1~6カ月の非心原性脳梗塞症例720例を対象に、CSPS 2と同様の比較検討が行われた。平均追跡期間はCSPS 2よりも短く、約12カ月だった。脳卒中の発症率は、シロスタゾール群3.30%、アスピリン群5.35%で、その差は有意ではなかった。

 両試験の結果を統合した今回の解析では、主要評価項目は、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の発症率。副次的評価項目は、脳梗塞、頭蓋内出血、複合項目(脳卒中・TIA・心筋梗塞・狭心症)の発症率で、さらに、これらの評価項目に影響を与えている因子の解析が行われた。

 その結果、主要評価項目の脳卒中に関しては、シロスタゾール群2.82%、アスピリン群3.89%で、シロスタゾール群の相対リスク減少は27%で有意だった(ハザード比:0.7256、p=0.0144)。また、副次的評価項目の脳梗塞に関しては、シロスタゾール群2.49%、アスピリン群2.88%となり、シロスタゾール群の相対リスク減少は14%だったが有意ではなかった(ハザード比:0.8616、p=0.3100)。

 頭蓋内出血に関しては、シロスタゾール群0.33%、アスピリン群1.01%となり、シロスタゾール群の相対リスク減少は63%で有意だった(ハザード比:0.3675、p=0.0006)。さらに、複合評価項目に関しては、シロスタゾール群4.18%、アスピリン群5.10%となり、シロスタゾール群の相対リスク減少は18%だったが、有意ではなかった(ハザード比:0.8175、p=0.0715)。

 CSPS 2とCASISPの対象者の背景因子比較では、CASISPと比べて、CSPS 2では60歳以上、喫煙・飲酒習慣有り、糖尿病、脂質異常症、高血圧の症例が有意に多く含まれ、BMIが25以上の症例は有意に少なかった。こうしたことから、CSPS 2の対象者は、CASISPの対象者よりもハイリスクであると考えられ、演者らは、日本の方が中国よりも生活習慣の欧米化が進んでいることが反映されているのではないかと推察している。しかし、脳卒中と脳梗塞の発症率はCSPS 2の方が低いため、日本ではより積極的なリスクファクター管理が行われたと推測される。

 臨床イベントに関与する因子を多変量解析によって検討した結果では、脳卒中に関しては治療薬群、性別、年齢、ラクナ梗塞の有無が有意な因子で、脳梗塞の再発に関しては性別と年齢が有意な因子であった。

 また、これら有意であった因子を解析したところ、性別に関しては、男性で脳卒中、脳梗塞、頭蓋内出血の発症率のいずれもが有意に高く、年齢に関しては、60歳以上で脳卒中と脳梗塞の発症率が有意に高かった。血圧に関しては、高血圧群(治療終了時の収縮期血圧151mmHg以上あるいは拡張期血圧85mmHg以上)において、脳卒中、脳梗塞、頭蓋内出血の発症率は、いずれも有意に高かった。

 治療薬群別のサブグループ解析の結果では、シロスタゾール群において、脳卒中と頭蓋内出血の発症率は、男性で有意に低かったが、女性では両治療薬群の間に有意差はみられなかった。また、脳卒中と頭蓋内出血の発症率は、60歳未満では両治療薬群の間に有意差はみられなかったが、60歳以上ではシロスタゾール群の方が有意に低かった。

 アテローム血栓性脳梗塞とラクナ梗塞の病型別にみると、脳卒中の発症率は、両病型ともシロスタゾール群の方が低かったが、有意差は認められなかった(図1)。頭蓋内出血の発症率は、アテローム血栓性脳梗塞では両治療薬群の間に有意差はみられなかったが、ラクナ梗塞ではシロスタゾール群の方が有意に低かった。さらに高血圧群では、脳卒中と頭蓋内出血の発症率ともに、シロスタゾール群の方が有意に低かった。

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