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Anti Thrombotic Therapy.2016

ISC 2009 リポートNo.17
頭蓋内アテローム硬化性閉塞疾患治療の現状を示す
Concurrent Symposia C

 頭蓋内アテローム硬化性閉塞疾患に対する血管内治療の進歩に注目が集まっている。そこで、2009年2月、米国 サンディエゴで開催された国際脳卒中学会(ISC2009)のConcurrent Symposiaでは、頭蓋内アテローム硬化性閉塞疾患に対する薬物療法とステント留置術の比較、バルーン血管形成術、再狭窄診断の新しい方法、ステント留置術の現状などが示された。

頭蓋内ステント留置術と薬物療法を多施設研究で比較するSAMMPRIS試験

 頭蓋内ステント留置術の評価では、薬物療法との比較が課題となるが、米国ではSAMMPRIS (Stenting & Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent stroke in Intracranial Stenosis)と名付けられた多施設研究によって、頭蓋内ステント留置術と薬物療法の比較が行われている。そこで、米国 ワシントン大学(セントルイス)のColin Derdeyn氏は、その現状を報告した。

 米国では、脳卒中再発の10%は頭蓋内アテローム性動脈硬化症(ICAD:Intracranial Atherosclerotic Disease)によるとみられている。薬物療法に関しては、WASID (Warfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial Disease)試験が行われ、主要頭蓋内動脈に50~99%の狭窄を有するTIAあるいは脳卒中既往例569例に対するワルファリンとアスピリンの効果について、平均1.8年追跡された。

 主要評価項目(脳梗塞、脳出血、血管死)に関しては両群間に有意な差はみられなかったが、ワルファリン群で死亡などの有害事象の発生率が有意に高いため、本試験は早期に中止された。なお、サブグループ解析では、主要評価項目の予測因子として、70%以上の狭窄、17日以内の症候発現(TIAあるいは脳卒中)、高コレステロール、高血圧などが有意であった。

 SAMMPRISでは、頭蓋内ステント留置術群と積極的薬物療法群の脳卒中発症・死亡が比較されている。主要評価項目は、登録後30日以内の脳卒中発症あるいは死亡、当該動脈の血管再開通処置後の脳卒中発症あるいは死亡、当該動脈の症候性再狭窄の血管形成術再処置後30日以内の脳卒中発症あるいは死亡、症候を呈する頭蓋内動脈領域における30日を過ぎた時点での脳卒中発症、となっている。

 対象は、主要頭蓋内動脈(中大脳動脈、頸動脈、椎骨動脈、脳底動脈)に症候性狭窄を有するハイリスク症例764例で、平均2年間の追跡が目標とされている。試験は、多施設・無作為化試験として行われ、頭蓋内ステント留置術群では血管形成術・ステント留置術に積極的薬物療が併用、積極的薬物療法群では積極的薬物療法のみが行われる。

 登録基準は登録前30日以内に虚血が発症し、主要頭蓋内動脈の血管形成術に適した70~99%のアテローム硬化性狭窄とした。

 積極的薬物療法としては、試験全期間におけるアスピリン325mg/日、登録後90日間のクロピドグレル75mg/日の投与、となっている。また、危険因子リの管理としては、血圧は140/90mmHg(糖尿病では130/80mmHg)未満、LDLコレステロールは70mg/dL未満が目標とされている。

 登録は2008年11月から開始され、2009年2月現在、23施設で30例の患者が登録されている。頭蓋内ステント留置術と積極的薬物療法を比較したデータはまだ出されておらず、試験結果が注目される。

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