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Anti Thrombotic Therapy.2016

【AHA 2010リポート】No.3
クロピドグレル不応症のPCI施行例における抗血小板薬3剤療法の有用性を検討

2011/01/24

三重大学附属病院の谷川高士氏

 血小板機能の測定によってクロピドグレル不応症(hypo-responder)と判定されたPCI施行例は、ステント血栓症のリスクが高いことが知られている。一方、クロピドグレル不応症にCYP2C19遺伝子の多型(注)が関与していることが、最近の研究で示されている。

 そこで、三重大学附属病院を中心とした多施設共同研究グループMcLORDD(試験統括医師;西川政勝氏)の谷川高士氏(写真)らは、CYP2C19*2、CYP2C19*3の両者またはどちらかを持つクロピドグレル不応症のPCI施行例において、通常の2剤による抗血小板療法(DAPT)にシロスタゾールを加えた3剤抗血小板療法(TAPT)の効果を検討し、その結果を米シカゴで開催された米国心臓協会学術集会2010(AHA 2010)で報告した。

 対象は、ステントを留置した冠動脈疾患症例で、アスピリン(100mg/日)+クロピドグレル(75mg/日)で治療した158例(DAPT群)とDAPTにシロスタゾール(200mg/日)を追加した29例(TAPT群)で、それぞれの血小板機能を測定し、比較検討した。

 貧血、血小板減少症、コントロール不能の脂質異常、出血中、手術予定、抗凝固薬を服用している心原性脳塞栓症などの症例は、対象から除外した。

 血小板機能の測定は、20μM ADPによる光学的血小板凝集測定、VASP index 、VeryfyNow-P2Y12 assayの3方法を用いている。また、CYP2C19の遺伝子多型に関しては、CYP2C19*1/*1(野生型)を高代謝型(EM)、CYP2C19*1/*2とCYP2C19*1/*3のヘテロ型を中代謝型(IM) 、CYP2C19*2/*2、CYP2C19*2/*3、CYP2C19*3/*3を低代謝型(PM)とした。

 患者背景でDAPT群とTAPT群の間に有意差が見られたのは、喫煙(DAPT群8.9%、TAPT群27.6%)、脂質異常(DAPT群70.9%、TAPT群89.7%)、リスクファクター数1(DAPT群23.4%、TAPT群6.9%)、リスクファクター数3以上(DAPT群37.3%、TAPT群65.5%)、スタチン投与(DAPT群62.0%、TAPT群89.7%)、PPI投与(DAPT群29.7%、TAPT群65.5%)だった。

 その結果、20μM ADPによる光学的血小板凝集測定で最大凝集を示した症例の割合は、IM型でのみ、TAPT群に比してDAPT群で高く、両群間に有意差が認められた(図1)。

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