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Anti Thrombotic Therapy.2016

【AHA 2010リポート】No.2
大腿膝窩動脈疾患ステント治療後の再狭窄に対するシロスタゾールの有効性を検討

2011/01/20

社会保険小倉記念病院循環器科の曽我芳光氏

 大腿膝窩動脈に対する血管内治療では、再狭窄が大きな課題となっている。そこで、社会保険小倉記念病院循環器科の曽我芳光氏(写真)らは、自己拡張型ナイチノールステントを用いた大腿膝窩動脈疾患ステント治療後におけるシロスタゾールの効果を検討し、同剤によって再狭窄が抑制されることを示す結果を得た。

 この成果は、米シカゴで開催された米国心臓協会学術集会2010(AHA 2010)の「末梢動脈血管内治療の改善(Improving Peripheral Interventions: From Renal and Carotid to Aortic Interventions)」のセッションで報告された。

 同研究は、多施設患者データベースを後向き解析する方法がとられ、主要評価項目は再狭窄の累積発症率、副次評価項目は再閉塞の累積発症率および総死亡とされた(平均観察期間2.25年)。

 対象は、膝上大腿膝窩動脈の新規病変に対して自己拡張型ナイチノールステント留置が成功した症例で、血管形成のみ、あるいは金属ステントによる治療、ラザフォード分類2度未満、外科治療、あるいは血管内治療の既往、再狭窄病変、フォローアップ6カ月未満、などの症例は除外している。

 再狭窄は、デュープレックス超音波検査で最大収縮期速度が2.4を超えるか、治療病変に血管造影で50%を超える狭窄がある場合としている。また、大腿膝窩動脈病変は、浅大腿動脈から膝上膝窩動脈までの間にあるものとしている。

 解析対象は511例(639肢)で、シロスタゾール投与群319例(407肢)、非投与群192例(232肢)。患者背景で両群間に有意差(p<0.05)がみられたのは、高血圧(投与群93%、非投与群80%)、喫煙(投与群31%、非投与群21%)、冠動脈疾患(投与群50%、非投与群66%)、重症下肢虚血(投与群27%、非投与群19%)だった。使用している他の抗血小板薬とスタチンに関しては、有意差は認められなかった。

 また、病変部の特徴で両群間に有意差がみられたのは、処置前参照血管径(投与群5.23±0.57mm、非投与群5.03±0.56mm)、使用ステント(SMART/Luminxx:投与群85%/15%、非投与群69%/31%)、石灰化病変(投与群30%、非投与群42%)、ステント破損(投与群16%、非投与群10%)だった。

 対象とされた全肢のステント内再狭窄(ISR:In-Stent Restenosis)の5年累積発症率は36.9%、ステント内再閉塞(ISO:In-Stent Occlusion)の累積発症率は13.8%だった。

 投与群と非投与群を比較すると、5年後のISR累積発症率は投与群33.7%に対して非投与群42.9%であり、非投与群において有意に高かった(p=0.0003)(図1)。

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