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肺炎が治っても元の生活に戻れない
朝夕の食事のときに必ず会いに行きました

2018/08/28
吉松 由貴(飯塚病院 呼吸器内科)

 「病気のために生き方が制限されることなく、人生を全うできるように」。これが、私が医師を志した原動力でした。

 息苦しいことは、生きていく上で何よりもつらいに違いない。そう思って呼吸器内科から研修することを選び、初めて主治医として受け持たせていただいたのが誤嚥性肺炎の方でした。尊敬してやまない部長に、「この患者さん頼むわ」と任せていただけたのは今も忘れられません。糊のきいた白衣に身を包み、ピカピカに磨いた聴診器を手に、気合満点で挑みました。

 しかし、熱が下がっても、食事をとることができない。酸素療法が終了しても、自宅に帰ることができない。肺炎が治っても、元の生活に戻れないのです。指導医に手取り足取り教えてもらい抗菌薬や輸液を調整したはずなのに、結局、自宅に帰れず転院となりました。今思えば、認知症やサルコペニアに伴う、不可逆的な要素の大きい嚥下障害だったのでしょう。

 この患者さんとの出会いが、私が誤嚥性肺炎の診療に興味を持つきっかけとなりました。

著者プロフィール

吉松 由貴(よしまつ ゆき)氏。2011年大阪大学卒。淀川キリスト教病院での初期研修、同院呼吸器内科での後期研修を経て、現職は飯塚病院呼吸器内科勤務。現職の間、浜松市リハビリテーション病院と聖隷浜松病院で嚥下リハビリテーションに関して国内留学。

連載の紹介

吉松由貴の「誤嚥性肺炎、診療の知恵袋」
誤嚥性肺炎は、すんなりと治る病気ではありません。繰り返したり、命に関わることも多いのです。そんな誤嚥性肺炎の診療に、若手医師が日々どのような姿勢で挑んでいるのかを具体例を交えながらつづります。

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