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いつまでも症状が長引く感染性腸炎の正体

2017/04/21
田中 由佳里(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)

研修医 25歳の女性が腹痛と下痢で来ています。連休にバーベキューに参加した際、肉を生焼けで食べたかもしれないとのことです。3日後から38℃超の発熱と腹痛、1日5回程度の水様便が出たとのことです。発症当日に救急外来を受診し補液で帰宅しています。さすがA先生、便培養も出しておいてくれました。

田中 桜も咲いたし、人が外に出始めたねえ。バーベキューとかしたくなるよね。

研修医 田中先生は医局の花見会、緊急の吐血処置で来られませんでしたもんね。3日前に救外を受診したこの患者さんなんですが、現在も38℃前後の熱と水様便が続いているようで、今日再受診されました。食事もあまり取れていないようです。採血では炎症所見の上昇と軽度の脱水があるようで、ややげっそりとしています。

田中 血便のエピソードはある?

研修医 O-157などの腸管出血性大腸菌も考えたのですが、血便はないようです。あ、先程、便培養でカンピロバクター陽性だと検査部から電話もらいました。

田中 食事も取れていないとすると、入院かなあ。抗菌薬は軽症の感染性腸炎なら控えた方がいいんだけど、この症例だと抗菌薬の使用もやむを得ないね。

研修医 先日B先生の感染症レクチャーで、不要な抗菌薬の使用は控えるよう話がありました。それまでは僕、軽症のカンピロバクター感染症でも検査で原因菌が出たら、迷わず抗菌薬を出していました…。

田中 判断に迷うときもあるけどね。今回はまだ自力回復が厳しそうだから、抗菌薬を使って悪化を防いであげよう。

著者プロフィール

田中 由佳里(仙台厚生病院 消化器内科)●たなか ゆかり氏。2006年新潟大学卒。機能性消化管疾患の研究のため、東北大学大学院に進学し、ストレスと過敏性腸症候群の関連をテーマに研究と臨床に従事。東北大学医学系研究科を経て、2019年から現職。

連載の紹介

田中由佳里の「ハラワタの診かた」
正しい機能性消化管疾患のエビデンス解説サイト「おなかハッカー」や、患者の日常生活課題について多職種連携による解決を目指した「おなかハッカソン」などを開催している消化器内科医が、機能性消化管疾患の面白さをお伝えします。

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