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「検査で異常がないので、帰していいですよね」

2017/01/18
田中由佳里(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)

研修医 田中先生、今いいですか? 腹痛と下痢が主訴の30代の男性です。血液検査で炎症所見、電解質異常もなく、腹部骨盤造影CT、追加で便培養と大腸内視鏡も行いましたが問題ありませんでした。甲状腺ホルモンなども問題なしです。特に異常はないので、整腸剤だけ処方しようと思いますがどうでしょうか。

田中 患者さんの症状は、「いつ頃」からどんな感じで続いていたのかなあ。なぜ今回新患外来に来ようと思ったんだろう。昼間務めている人なら、自分に虫歯があるのを分かっていても、なかなか日中に歯医者に行ったりしないと思う。多分、痛みが出てきて、本当に困ったときに、仕事を数時間抜けて行くんじゃない? その患者さん、「今」かなり困っているんじゃないかな。

研修医 そうですねぇ…。患者さんの職業は細かく聞いていませんが、スーツ着て、髪型もきっちり整っていたので、会社員かなあ。「異常がないから整腸剤だけ」では不十分でしょうか。

著者プロフィール

田中 由佳里(仙台厚生病院 消化器内科)●たなか ゆかり氏。2006年新潟大学卒。機能性消化管疾患の研究のため、東北大学大学院に進学し、ストレスと過敏性腸症候群の関連をテーマに研究と臨床に従事。東北大学医学系研究科を経て、2019年から現職。

連載の紹介

田中由佳里の「ハラワタの診かた」
正しい機能性消化管疾患のエビデンス解説サイト「おなかハッカー」や、患者の日常生活課題について多職種連携による解決を目指した「おなかハッカソン」などを開催している消化器内科医が、機能性消化管疾患の面白さをお伝えします。

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