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第30回
かんしゃくを起こす子にはジャンケンが有効

2017/08/16

 いつも穏やかで親の言うことをよく聞く子であれば、保護者が子育てに悩むことはありません。しかし、中には思い通りにならないとかんしゃくを爆発させたり、何かに熱中すると止められなくなる子もいて、親はどのように接すればいいのか苦慮しています。そうした扱いにくい子を育てているお父さんやお母さんにはどのようなアドバイスをすればいいのでしょうか。

ごねることで要求を通そうとする子
 例えば、テレビを消そうとするとかんしゃくを起こしたり、そろそろ遊びを切り上げさせようとすると怒り出す子がいます。自分の思い通りにならないと気がすまないタイプです。

 こうした子は、1歳過ぎからこだわりが強かったり、自分の要求が認められないと床の上にひっくり返りずっと泣いたりします。ある意味では個性が強いとも言えますが、親にしてみれば扱いにくい子です。

 自分の要求を通そうとし、通らないとごねる。ごねたことで要求が通ると、また通ると思うから次も絶対に我慢をしません。お母さんの方もあきらめてしまって「仕方ない、もういいや」という形になると、その後もそういう力関係がずっと続いてしまいます。

 そうした子は4歳頃になると、走ったりしたときに1着にならないと気が済まない、何でも他の子より速く、強くないとがまんできない気持ちが強くなります。私はこれを「一番病」と呼んでいます。

 例えばジャンケンをするとします。確率的に言えば、3回に1回は負けるでしょう。ところがこうした子は、負けてもそれを受け入れられず、かんしゃくを起こしてしまうのです。

 上にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいて、ジャンケンをしようと誘われてもしようとしません。なぜなら、自分が負けてしまうからです。出す手がだいたい最初はグーかパーであり、お兄ちゃん・お姉ちゃんはそれを知っているためにずっと負けてしまうので、なおさらやらないのです。

 あるいは、負けたとしても「勝った、勝った」と大声で言ったり、後出しをして何としてでも勝とうとします。親が相手の時は「ママ、グー出して。ぼく、パー出すから」と言ってお母さんに勝ってしまったりします。これを「王子・王女様のジャンケン」と私は名付けています。

 では、こうした子に悩む親へ、粘り強く言い聞かせるよう指導すべきでしょうか。叩いて教えれば聞き分けのいい子になるのでしょうか。否、決してそうはなりません。むしろ反発を強めていよいよ反抗的になり、日常的に親子バトルが繰り広げられる結果になります。これでは親子共々疲れ切ってしまうでしょう。

著者プロフィール

横井茂夫(横井こどもクリニック院長)●よこいしげお氏。1975年慈恵医大卒。国立大蔵病院・都立母子保健院を経て、1998年より現職。医師国家試験対策予備校のテコムで小児科の授業を34年間担当し、医師国家試験とCBTの模擬試験問題や解説書を作成している。乗馬、落語鑑賞、料理が趣味。

連載の紹介

泣かせない小児診療ABC
診療所は子どもに「痛い、怖い」と思われがちな場所です。医療従事者は、できる限り子どもの不安を最小限にして子ども達がその子なりに乗り越えていけるよう、手助けをする必要があります。本連載では、横井氏が試行錯誤の末たどり着いた子ども達の不安を減らす診療の工夫を、内科や総合医の開業医向けに紹介します。

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