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第20回
健診で「様子を見ましょう」が禁句な所見とは

2015/06/03

 乳幼児健診でできること・できないことを確認していると、どのような状態であれば経過観察としてよいのか、どういった状態が経過観察とすべきではない所見なのかの判断が難しくなってきます。

 今回取り上げるのは、3~4カ月健診で「様子を見ましょう」としてはいけない所見をお示しします。

首がまだすわっていない場合
 4カ月健診時点で首がすわっていない場合は、少し発達が遅れている傾向にあると考えられます。経過観察をするのではなく、遊びながら子どもの発達を促進する方法を保護者に伝え、少しずつ発達を促すように指導していきましょう。保護者に紹介する遊び方は以下の方法です。

 母親が椅子に座り、子どもを机の端に座らせると、両者の目の高さがほぼ同じになります。子どもの両脇を支えて、左右にゆっくり20度ほど倒します。

 徐々に右に倒すと、子どもが倒れまいとして頭を左に戻して頭部を垂直に保とうとする反応(視性立ち直り反射)が見られます。この反射を左右ともに上手に出させるよう、くり返すと首がすわるようになります。

 左右の次は前後に倒します。後方に倒すと、顎を引いて下肢が伸展しバランスを取ろうとします。前方に倒すと背筋が伸びて顎を前方に出します。

 子どもを泣かさないようにしながら、この前後左右に倒す遊びを一度に10回ほど繰り返します。これを1日3~4回行うと、2週間ほどで首がしっかりとすわるようになります。

 同様に、椅子に腰かけた母親の膝の上に前向きに座らせ、その前方に鏡を置き、子どもが鏡に映った状態で左右前後に倒して視性立ち直り反射を誘発させるのも効果的です。

 この遊びを2週間続けても首がすわらなければ専門医に紹介します。

離乳食を食べてくれない
 3~4カ月健診から1~2カ月すると、離乳食が始まります。しかし、ときおり離乳食を食べてくれない子どももいます。

 「数口で嫌がって食べないので母乳を飲ませています。体重増加も良好で、機嫌もよいのですが、離乳食を嫌がります」――。

 保護者からこのようなことをいわれた場合、たいていの保護者は離乳食の食事内容に問題があると思っています。しかし、食事の食べさせ方が問題な場合が実は多いのです。「食事嫌い」ではなく「スプーン嫌い」の可能性があります。スプーン嫌いの子どもの表情を動画でご覧ください(動画1)。

著者プロフィール

横井茂夫(横井こどもクリニック院長)●よこいしげお氏。1975年慈恵医大卒。国立大蔵病院・都立母子保健院を経て、1998年より現職。医師国家試験対策予備校のテコムで小児科の授業を34年間担当し、医師国家試験とCBTの模擬試験問題や解説書を作成している。乗馬、落語鑑賞、料理が趣味。

連載の紹介

泣かせない小児診療ABC
診療所は子どもに「痛い、怖い」と思われがちな場所です。医療従事者は、できる限り子どもの不安を最小限にして子ども達がその子なりに乗り越えていけるよう、手助けをする必要があります。本連載では、横井氏が試行錯誤の末たどり着いた子ども達の不安を減らす診療の工夫を、内科や総合医の開業医向けに紹介します。

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