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第13回
小児科医直伝!子どもへの上手な薬の飲ませ方

2014/04/24

 子どもの中には薬を上手に飲む子ども、座薬も嫌がらない子ども、吸入も自分からする子どもがいる一方で、薬を絶対に飲まない、座薬を入れてもすぐ排泄してしまう、吸入器を見ただけで拒否する子どもがいます。

 子どもが嫌がり、摂取してくれなければ薬は適切に作用せず、どんな高価なものでもゴミになってしまいます。

飲みやすい薬を探す~味見のすすめ~
 一般小児科医の処方する散薬・水薬は約20種ほどあります。そのうち、皆さんがよく処方しているのは半数くらいの薬でしょう。

 外来小児科で処方する薬は、子どもが飲みやすくなければいけません。読者の皆さんは毎日処方する散薬・水薬を味見したことがありますか?

 いつも処方している薬の味・色を自分で確かめてみると、意外と味が悪い、量が多すぎると感じることがあります。

 また、院外薬局では、処方箋に書いた薬を後発品(ジェネリック)に変更することもあり、医師が想定している薬とは味や色が変わってしまう場合もあります。さらに院外薬局によって揃えているジェネリックの種類には違いがあるため、それぞれの薬において、味、色、匂いの確認はなおさら必要となります。

 実際に外来でいつも処方する薬の味見をしてみて、苦かったりまずかったと感じたら、まず薬剤師にどの薬に変えれば飲みやすいかを聞いてみるとよいでしょう。飲みやすい薬がない場合は、薬効の同じものでより飲みやすい薬を探してもらうのがオススメです。

どう飲ませるか、どう差すか、どう塗るか
(1)薬は食前に飲ませるのがカギ
 成人や学童では、錠剤の内服は1日2~3回で、食後に服用するのが一般的です。しかし、乳幼児に水薬や散薬を食後や哺乳後に飲ませると、内服を嫌がって食べた物や飲んだミルクを嘔吐する危険性があります。また、空腹時の方がおいしくない薬も飲んでくれやすいので、私は食後に服用させる積極的な理由がなければ食前・哺乳前に内服させています。

 食事に薬を混ぜる方法もありますが、病気で食欲も低下していることも多いため、食事そのものを食べなくなってしまいます。食事やミルクは内服後に摂取するように指導しましょう。

(2)針なし注射器を付ける
 家庭で水薬を飲ませる時は、スポイトまたはプラスチックの薬杯か水薬瓶の目盛線で1回の内服量を量るのが一般的です。しかし、この方法では正確な量を量るのはなかなか難しいのです。

 そこで当院では、正確に水薬を量るために針なし注射器(3ccか5ccのディスポ注射器)を母親に渡しています。この注射器で正確に水薬を量ってもらい、そのまま乳幼児の口の中に差し込んでゆっくり注入すると飲ませやすくなります。

(3)服用方法の指示は、確実に
 抗菌薬・抗ウイルス薬(タミフルなど)で分3処方をする場合、患児が午前に来院した場合は帰宅後に朝の分の薬を内服してもらいます。昼の分は午後2時に、夕方の分は夕食時に内服するように指導します。

 午後に来院した患者に対しては、分2の処方の場合は帰宅後に1回内服し、寝る前にもう1回内服。分3の処方では帰宅後に1回内服し、寝る前にもう1回内服すると当日から血中濃度が治療域になりやすく、有効性も高まります。

(4)散薬の飲ませ方
 小児看護の教科書には、薬の飲ませ方として、散薬を少量の水に溶かし、頬の内側に塗り付けるか、水で溶かした薬をスポイトに吸って口の中に入れる方法が紹介されています。

 しかしこの方法では、水に溶かすことで散薬の表面にある甘い層が溶け、中の苦みの層が露出してしまうので、子どもに拒否されやすいというデメリットがあります。私のお薦めは、市販の食品を利用して味をごまかす方法です。

 薬を飲ませる時は、表1のいずれかの食品、スプーン2本、冷たい水、飲ませる散薬を準備します。まず表1の4品のうち一つをスプーンに少量載せて子どもの口に入れます。この4品はどれも甘くておいしいため、大抵の子どもは飲み込んでくれます。次に水を一口飲ませます。これを3回繰り返した後に、散薬を混ぜた物をもう一つのスプーンで与え、水を一口飲ませます。

 苦みの強い薬でなければ、このやり方でほとんどの子どもは薬を上手に飲んでくれます。

著者プロフィール

横井茂夫(横井こどもクリニック院長)●よこいしげお氏。1975年慈恵医大卒。国立大蔵病院・都立母子保健院を経て、1998年より現職。医師国家試験対策予備校のテコムで小児科の授業を34年間担当し、医師国家試験とCBTの模擬試験問題や解説書を作成している。乗馬、落語鑑賞、料理が趣味。

連載の紹介

泣かせない小児診療ABC
診療所は子どもに「痛い、怖い」と思われがちな場所です。医療従事者は、できる限り子どもの不安を最小限にして子ども達がその子なりに乗り越えていけるよう、手助けをする必要があります。本連載では、横井氏が試行錯誤の末たどり着いた子ども達の不安を減らす診療の工夫を、内科や総合医の開業医向けに紹介します。

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