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早期治療でヘルペス脳炎患者を救命せよ!

2016/02/04
山中 克郎(諏訪中央病院内科総合診療部)

 普通に日常生活を営んでいた人が、突然理解できない発言や行動を起こすことがある。

 生来健康な62歳男性が、発熱と意識障害を主訴に来院した。10日前から咳と頭痛があり、自宅近くの診療所を受診し抗菌薬(詳細不明)をもらっていた。3日前の夜は一晩中、頭痛を訴え、38℃台の発熱があった。2日前に病院を受診し、症状からインフルエンザと診断され、タミフル(一般名オセルタミビル)を処方された。帰宅後、携帯電話の使い方が分からなくなった。タミフル内服後に2回嘔吐した。来院前日は、発熱が続き調子が悪く、朝からずっと寝ていたという。夕方に起きてきたが、会話の内容と行動がおかしいことから家族が心配して当院を受診した。

 既往歴は特になく、定期的な内服薬もなし。飲酒や喫煙の習慣もない。バイタルサインは体温39.6℃、血圧116/67mmHg、心拍数83回/分、呼吸数18回/分だった。

 脳神経に異常はなく、歩行は正常で麻痺を認めない。腱反射も左右差がなく、感覚障害もなし。しかし、名前や生年月日が答えられなかった。自分がいる場所も分からない。ティッシュペーパーを見せても、何であるか答えることができない。左右の区別が付かない(左右失認)。

 血液検査では白血球数(6830/μL)やCRP(0.26mg/dL)に異常はなく、電解質、肝機能、腎機能も異常を認めなかった。頭部CT検査を行ったところ、左外包に低吸収域を認めた。

著者プロフィール

山中克郎(諏訪中央病院院長補佐)●やまなか かつお氏。1985年名古屋大卒。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)一般内科、名古屋医療センター総合診療科、藤田保健衛生大学救急総合内科などを経て、2014年12月から現職。

連載の紹介

山中克郎の「八ヶ岳から吹く風」
総合診療医として唯一やり残したと感じる「地域医療」に取り組むため、諏訪中央病院に移った山中氏。「地域医療」や「地域での教育」によって日本の医療に貢献するという新たなチャレンジの日々を、八ヶ岳山麓で見つけた自然や人々との関わりとともに綴る。

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