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コロナ禍で難易度がさらに上がった「親の死に目に会いたい」

2022/05/12
薬師寺 泰匡(薬師寺慈恵病院院長)

 ある日、高齢者施設から救急搬送があった。患者である90歳の男性は、コミュニケーションもなかなか取れなくなっており、食欲も低下してきている状態であった。どこで、どのように最期を迎えさせてあげるかといった話はまとまっておらず、明け方に施設職員が訪室したところ反応がなかったため救急要請した。救急隊接触時は心静止であった。目撃なし、発症時間不明の心停止である。救急要請時から施設職員に心肺蘇生をしてもらい、救急隊到着まで10分。そこから20分後の搬入で、来院時も心静止であった。心肺蘇生を引き継いで10分、アドレナリンを2回投与したが反応はない。そうこうしていると、施設から連絡を受けた家族が到着した。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院院長)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年から薬師寺慈恵病院に職場を移し、2021年1月からは院長として地方二次救急病院の発展を目指している。週1回岡山大学の高度救命救急センターに出入りし、ますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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