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COVID-19ワクチンは安全! でもアナフィラキシー対応は万全に

2021/02/04
薬師寺 泰匡(薬師寺慈恵病院院長)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数はなかなか落ち着かず、政府は緊急事態宣言の延長を宣言し、悲しい気持ちになっています。どうなったら緊急事態宣言が発出され、どうなったら解除されるのかという明確な基準がしっかり共有されなかったのは、残念です。

 この宣言は、逼迫する医療をなんとかしたいという趣旨で出されたと認識しています。そうであれば、「重症病床占有率がどの程度で、入院率がどの程度になったら延長は必要ない」ということを事前に明確共有しなくてはなりません。首相の記者会見では、感染状況がステージ3を下回ることと明言されていました。ステージ3は新規感染者数が1週間で人口10万人あたり15人以上、PCR検査の陽性率10%以上、経路不明割合は50%以上です。連日、何人が新規感染したかという数字だけでなく、あとどれくらいでステージ2の判断になるのかという情報共有がないと、出口が見えません。重症患者の病床稼働率が30%を超える、全患者の病床稼働率が45%を超えるというのもステージ3の基準となります。「何としてもこの数字を達成する」という明確な目標を持ちたいです。

 そして、緊急事態宣言の発出が思ったより効果的でなかったのであれば、作戦変更も必要です。夜だけでなく、昼間の活動も自粛してくれというメッセージが出ましたが、いささかメッセージの方向がブレているようにも思います。自粛してほしいのではなく、感染してほしくないのです。とにかく飛沫を浴びないように、あちこち触れないように、手指衛生を保つように、ウイルスを家に持ち帰らないように、医療従事者レベルでの対策を具体的な行動として求めていきたいです。少なくとも、「20時までだったら会食をしても大丈夫」と思っている国会議員や、「国会議員であれば深夜にクラブのはしごをしても問題ない」と思っている方もいるようですから、きちんと仕切り直す必要があるのではないでしょうか。閣僚や国会議員の皆さんが、フェイスシールドをつけた状態や、無防備な状態でテレビの前に現れるのをやめるだけでも、より効果的な感染対策が伝わるのではないかと思います。

 自粛することが目的になり、ただただ緊急事態宣言期間を延長だけするということであれば、いったい何を頑張ればいいのか、途方に暮れてしまいます。各種助成金もさらに拡充されました。僕はこうしたコラムでの情報共有や、患者さんへの直接の情報共有、啓発程度しかできませんが、できることやって、1日でも早くこの事態を落ち着かせたいです。僕は医療の限界であるという宣告を患者さんにお伝えする機会を最大限減らしたいですし、あれよあれよと病状悪化し、家族に会うことも許されずにお亡くなりになる方を最大限減らしたいのです。私生活のことを言えば、早くシン・エヴァンゲリオン劇場版を見たいです!

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院院長)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年から薬師寺慈恵病院に職場を移し、2021年1月からは院長として地方二次救急病院の発展を目指している。週1回岡山大学の高度救命救急センターに出入りし、ますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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