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穿刺手技、上から見るか? 横から見るか?

2020/05/14
薬師寺 泰匡(薬師寺慈恵病院)

 誰にでも願望というものがあります。後悔した時、思い通りにならなかった時、もし○○だったら……と思わずにはいられません。そんな気持ちを恋愛に絡めて描いたアニメ映画(原作は実写ドラマ・映画)に「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」がありますが、公開直後は「結末が意味不明である」という全米が泣きそうな感想がネットに溢れていました。しかし、答えが分かりにくいというのは、想像を掻き立てられて、それはそれで良いものです。今はなるべく家で過ごそうということで、もし時間を持て余しているようでしたら、ぜひご覧になってください。クリストファー・ノーラン監督の映画「インセプション」で最後に出てくる駒も意味深でいいですね。

 全然関係ないのですが、アニメ映画の名作と言えば、自分は「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を挙げたいです。エヴァンゲリオンで一世を風靡したガイナックスの作品で、地球に似たパラレルワールドを舞台に、人類初の有人宇宙飛行を成し遂げるまでの話を描いています。「宇宙軍」とありますが、特に闘う相手はおらず、宇宙開発のための王立組織です。現実の日本でも、自衛隊で初めてとなる宇宙専門部隊「宇宙作戦隊」を5月18日に発足させると発表がありました。タイムリー。

 残念ながら、この世界情勢で「シン・エヴァンゲリオン」の公開は延期されました。こんな時だからこそ、今はオネアミスの翼で彼らの仕事の原点に触れましょう。特筆すべきは、CGが今ほど使えなかった時代に、手描きしたロケット発射シーンです。作画監督を務めた庵野秀明が1つひとつ書き込んだという氷の破片、水蒸気の描写、雲を突き抜けて飛んでいくロケット、燃焼終了し切り離される装置、そして軌道速度にのり衛星となる本体……。何度見ても鳥肌が立ちます。外出の機会も減っていると思いますので、どうか見ていただければと思います。これまでの人類が積み上げてきたものに感謝し、明日からの仕事をまた粛々と頑張ろうと思わせてくれる映画です。

 さて、一体なんの話をしているのか分からなくなってきたので、話を戻します。打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?の話でした。花火自体の姿は変わらず、観測者によって様々な世界が生まれます。今日はそんな話をしたいと思います。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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