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今年を振り返り来年を思う、1番読まれた薬師寺コラムは

2019/12/26
薬師寺 泰匡(薬師寺慈恵病院)

 インフルエンザが猛威を振るっております。大相撲でも、感染した力士を出場させたということで問題になっておりました。師走といいますが、師がいけない方向に走らせてしまったやつです。感染性の高い病原性微生物に感染しながら相撲をとると、相手の部屋ごと陥れることができます。斬新すぎる決まり手だと思うのですが、きちんと巡業部長が反省しているので次は起こらないだろうと少し安心しました。みなさまも体に気をつけて、年の瀬を乗り切ってください。

 さて、年末なので、恒例の2019年PVランキングをもとに、1年を振り返りたいと思います。

10位 「2191人の無給医」より驚いたこと
 無給医の存在が社会的に認知され、問題になりました。僕はずっと無休医がいると思っておりましたし、いまさら感がすごかったのですが、何も問題になっていなかったところからは一歩前進というところでしょうか。医師の働き方、雇用のあり方について考えるきっかけとなったニュースです。もともと開業医主体の医療だったのが、大きな病院でしかできない医療が増えてきたことで、雇用の形が変わってきました。医師に多くを望むことは当然の感情だと思いますが、自分の働き方にどれだけ裁量権を持たせるというところを無視してはならないです。雇用といえば、僕は岸和田徳洲会病院を退職いたしました。

9位 妊婦さん悶絶!? そんなときはあの漢方!
 芍薬甘草湯が尿路結石に効くという話です。妊婦さんの鎮痛は非常に悩ましいです。使えない薬がありますし、産婦人科医も困ってしまうレベル。こんな状況にもかかわらず、妊婦加算に理解が得られず廃止になってしまいました。このままでは絶対によくないと思います。もし、若手医師で妊婦の救急を学びたいという人がいたら、EM Alliance Meetingに起こしください。産婦人科・泌尿器科救急と題して、痒いところに軟膏を塗るような勉強会を開催します。こうした勉強会の参加費のことを考えても、やっぱり妊婦加算あってもよいのではないかと思いますね。

8位 マッキントッシュ型喉頭鏡はもう古い!?
 ビデオ喉頭鏡台頭の時代です。これまでの直接喉頭鏡は「骨董鏡」などと呼ばれるようになってしまいました。麻酔科ではビデオ喉頭鏡主流になってきているように思います。ビデオ喉頭鏡の方で劇的に挿管成功率が上がるというわけではありませんが、教育面で使いやすいこと、解剖学的に難しい人でも挿管できることなど、利点がありますので、救急でも上手に使っていきたいと思います。

7位 餅の窒息や風呂での溺水で警察は呼ぶ?
 患者さんの死亡を確認した時、どこまでを異状とするかという点について、まだまだ議論が収束していない印象です。監察医がいればそこまで問題とならないように思うのですが、すべての行政区で成り立つシステムではないので難しいですね。諸外国のように検死官が解剖の必要性や警察介入の必要性を判断するシステムになれば分かりやすいのになと思っています。

6位 「鼻血が止まらない」で救急搬送はアリ!?
 鼻出血は大体止まりますが、止まらない鼻出血もあります。令和の世の中では、止められる鼻出血を自分で止められるようになってほしいです。鼻出血で救急搬送される人は、搬入時に止まっていることも多いですから。これを読んでいる人の中で幼稚園児程度の年齢以上のお子様がいらっしゃる方々は、とりあえず自分の子どもたちに鼻血が出た時の対処法を教えてから今年を終えてください。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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