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胃瘻は必要だけど「PEGの造設」には反対!

2019/07/18
薬師寺 泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 救急と胃瘻は無縁と思われるかもしれませんが、意外と多くの方に胃瘻を導入することがあります。いずれ抜去可能だろうと思う状況(外傷で嚥下ができないけど将来的に機能改善が見込まれる場合とか)や、神経疾患で嚥下ができないけど身体はある程度元気といった状況などで導入することが多いです。

 近年、なるべく早期から経腸栄養を投与するのが望ましいという考えが急性期重傷病態でも広まっています。僕らも、経口摂取が難しい入院患者さんには入院時に経鼻胃管を挿入して、腸管の閉塞などの禁忌がなければ栄養投与をするのですが、経鼻胃管は不快極まりないので、長期化したり転院が必要となったりする場合などは、胃瘻を作ることになります。

 長期的に経鼻胃管を入れておくと、患者さんは抜去したがります。抜去したがるので、身体抑制をかけることになります。精神的に、非常に良くないことです。僕は研修医になって間もない頃、研修医同士で経鼻胃管を入れ合うという実習をやりました。とても嫌でした。そりゃ抜きたくもなります。後輩たちにも無理やり体験させようとは思いませんが、経鼻胃管の苦痛を知れたことはよかったと思っています。鼻にずっと物が入っているより、胃瘻を作って負担少なく栄養を継続してあげれば、リハビリを進めやすくなるなどのメリットが得られることもあります(もちろん胃瘻造設に伴うリスクは勘案しなくてはなりませんが)。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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