日経メディカルのロゴ画像

タトゥーが入っていても断らない救急

2018/08/30
薬師寺 泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 最近、りゅうちぇるというタレントがタトゥー(入れ墨)を入れたということで物議を醸しています。なんで他人がタトゥーを入れただけのことにとやかく首をつっこむのか理解できませんが、今回はちょっとタトゥーについて考えてみようかと思います。

 タトゥーを入れている人、救急外来ではよく見かけます。タトゥーは漁師が事故したときの個体識別に利用されたり、差別のために利用されたり、犯罪者を認識するために利用されたり、様々な文化の上に成り立ってきたものです。最近では美容目的に入れることもあります。いろんな歴史があって今の社会感情を生んでいると思いますので、タトゥーそのものの是非についてとやかくいう気はありません。それぞれに何か思うところがあってやっているのでしょう。忍耐強さを誇示するために入れていると思われる人が、些細な火傷に悶絶しているシーンを見たこともありますから、現代においてはタトゥーには特に意味はないのかなと思っています。僕にとってはただの模様です。

タトゥーを入れると医療上の問題が起こるか?
 りゅうちぇるがタトゥーを入れたことについては、テレビのコメンテーターがあれこれ言っているほか、医療従事者を中心に「MRIが取れなくなるかもしれないのに軽率だ」みたいな意見も挙がっていました。今回はちょっとこれに関して突っ込んでみたいと思います。

 以前、指を落とした話を書いた時、MRIとタトゥーについて少し触れました。タトゥーを入れていると、MRIで熱傷を負ったり変色したりするなどとまことしやかに言われていますが、どうなんでしょうか。

 タトゥーに関連したMRIの有害事象については、1997年に最初の報告がなされています。腹部にタトゥーを入れていた人が、灼熱感を伴う疼痛を訴えたものです。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年からいきなり管理職。地方二次救急病院で診療しながら、岡山大学の高度救命救急センターでますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

この記事を読んでいる人におすすめ