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心不全=利尿薬はもう古い!?

2018/06/07
薬師寺 泰匡(岸和田徳洲会病院救命救急センター)

 毎日繰り広げられる当院救急部の朝練(朝の勉強会)。新しく研修医として入部してくれたメンバーも、日々朝から部活動に勤しんでくれています。たびたび救急科以外の診療科からもレクチャーに来てくれるので、日々僕らも勉強になっています。そんな中、循環器科のレジデントが心不全の治療についてレクチャーをしてくれたのですが、印象深い言葉がありました。それは「急性心不全の治療=ラシックスと思わないでください」というものでした。

 ラシックスはループ利尿薬であるフロセミドの商品名ですね。経口投与での持続時間が6時間ほどなので、Last 6 hours→Last 6→ラシックスとよくいわれています。しかしこれ、どこまで本当なのでしょう。緩下剤を表す「Laxative」という単語に出合うまで、ラキソベロンの語源を「楽にクソがベロン」であるという友人の話を信じかけていたので、まことしやかにささやかれる話も疑ってかかってしまう自分がいます。真相をご存じの人がこれを読んでおられましたら、ぜひともこっそりお知らせください。

 さて、話を戻しましてフロセミドですね。研修医のころはどうしても病態と治療を一対一対応で覚えたくなるもので、「心不全で呼吸困難→利尿薬」と結びつけてしまいがちです。そういった反応に警鐘を鳴らしてくれたものと思います。そうは言っても利尿薬使うじゃん!?って思いますよね? 今回はどんな時に利尿薬を使うべきかということと、使わなかった症例の共有をしてみたいと思います。

CSって何?
 近年、急性心不全の治療に関して、クリニカルシナリオという概念が提唱されました(図1)1)、2)。これは左室前負荷と後負荷の具合や、背景疾患から、いくつかの病態に分類して治療法を決定するものです。クリニカルシナリオを略してCS(シーエス)と呼んだりします。

著者プロフィール

薬師寺泰匡(薬師寺慈恵病院院長)●やくしじひろまさ氏。富山大学卒。岸和田徳洲会病院(岸徳)での初期研修を経て救急医療の面白さに目覚め、福岡徳洲会病院ERで年間1万件を超える救急車の対応に勤しむ。2013年から岸徳の救命救急センターで集中治療にも触れ、2020年から薬師寺慈恵病院に職場を移し、2021年1月からは院長として地方二次救急病院の発展を目指している。週1回岡山大学の高度救命救急センターに出入りし、ますます救急にのめり込んでいる。

連載の紹介

薬師寺泰匡の「だから救急はおもしろいんよ」
ER×ICUで1人盛り上がる救急医。愉快な仲間達と日本一明るい救命センターを目指して日々奮闘し、「ER診療の楽しさ」の伝承にも力を入れています。出会った患者のエピソードや面白かったエビデンス、ERを離れた救急医の日常までを綴ります。

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